ハッチャケすぎたハプニングッ!

●それは神様のいたずら?

「あら、素敵♪ あなたにもプレゼントしちゃう♪」
 一足先に女神ランララの木の下にやってきていたキズカ。
 相手が来ないことを良いことに、持ってきていたお菓子を、素敵な男性に配っていた。
 でも大丈夫。
 キズカは抜かりない。
 この日の為に、沢山のお菓子を山盛り用意してきていたのだ。
「それにしても、エインさんはまだかしら?」
 ふと首を傾げて。
「あ、そこの素敵なお兄さーーん!」
 もうキズカの頭の中にはエインの存在は消えうせていた……。

「はぁ、はぁ………色々な意味で恐ろしい試練だった……」
 その後、やっと女神ランララの木の下までたどり着いたエインは、大きく肩で息を吸っていた。
「と、キズカちゃんは……」
 辺りを見渡し、目当ての人を見つけた。
「キズカ………ちゃん?」
 当の本人はというと。
「じゃあ、あなたにもどうぞ♪」
 楽しげに他の男性にお菓子をプレゼントしていたり。
 と、キズカはやっとエインに気づいた。
「も、もしかして、見てた?」
 そういうキズカの言葉に、エインはこっくり頷いたのであった。

 その後のキズカの告白により……というか、白状により以下の事が判明した。
 相手のいないキズカは、無理やりエインを誘ったのだ。
 そして、エインよりも一足先に待ち合わせ場所にたどり着き、プレゼントを配っていたのだと。
「大丈夫、エインさんの分もちゃんと残って………」
 ばさっと大きな風呂敷を広げてみると、そこには小さなキャンディーが一つ。
「はぁ〜〜」
 それでもありがたくいただいてみるエインだったり。
 思わず微笑してしまう。
「じゃぁ、僕は帰って夕食の支度しているね。今日は楽しかったよ」
 エインはそのまま、丘を降りていく。
「あ、ちょ、ちょっと待っ………」
「え? キズカちゃ……」
 ちゅ☆

 ぴるるるるる〜。
 遠くでのんきな小鳥の声が聞こえた。

 エインとキズカは、この場所で予想外のキスをしてしまったのである。
 倒れこんでしまってのハプニングだが。
 その後、二人がどうやって帰っていったのかは覚えていない。
 ただ言えることは、神様はお見通しということ……かもしれない。


イラスト: chita