Covenant…
●大切な指輪に誓いを
星屑の丘で、フェレクはフィナンシェを食べていた。
カンショウが作った、手作りのフィナンシェ。
金の延べ棒のような形をした焼き菓子だ。
「とても美味しいよ……ありがとう」
フェレクは微笑み、全てのフィナンシェを食べ終えた。
「そう、言ってもらえて、わたくしも嬉しいですわ」
カンショウも嬉しそうに微笑む。
ふと、フェレクが真面目な顔をして、カンショウを見つめた。
「ど、どうかしたんですの? フェレク?」
普段よりも大人っぽく見えるフェレクに、カンショウはどきまぎしていた。
「俺からもプレゼントがあるんだ」
そう言ってフェレクが取り出したのは、一つのリング。
中央に銀色の宝石がはめ込まれ、それを挟み込むように銀色の翼のモチーフが着いてる、綺麗なシルバーリングであった。
「手を出して」
言われたとおりに手を出すカンショウ。
(「一生愛する……」)
そう誓って、フェレクはカンショウの薬指に指輪をはめた。
「カンショウ……ずっと、愛してるよ……」
そして、抱きしめる。
「ずっと一緒に………約束、ですわね……」
照れたようにカンショウは呟いた。
「ああ、約束だ……」
そう言ったフェレクの左手の薬指には、既にリングがついていた。
カンショウのしていたリングとお揃いの形。
違うとすれば、その宝石の色。
フェレクのリングは緑色の宝石がはめ込まれていた。
「フェレク………本当に、ありがとう………」
カンショウは、一番綺麗な笑顔で、そう告げた。
そう、二人のリングの宝石は、互いの髪の色を示している。
いつまでも一緒にいられるように。
その後、カンショウは一人っきりになっても笑顔で微笑んでいた。
左手にはフェレクからのシルバーリングが輝いている。
「フェレク、ありがとう………」
あのときの綺麗な笑顔で、別の部屋にいる大切な人にもう一度、感謝したのであった。
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橄欖奏の墓守人・カンショウ
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椿を護る白銀の風・フェレク
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イラスト: Sue