ランララの最後の罠?そして癒し

●きしゃーとわたし

 喜んでくれるだろうか?
 それともがっかりさせてしまうだろうか?
 ああ、待ち遠しい。
 これから、あなたが来てくれるのだから。

 私のところへと。

「こんにちは、来たよ♪」
 女神ランララの木の下にホノカはやってきた。
 可愛い服を着て、おしゃれをしている。
「あの、これ……パンポルナの名物なんです。その……ホノカさんにプレゼントしようと思って……」
 頬をピンクに染めて、カヅチは手にしていた大きな木の実を渡した。

 はず、だった。

「きしゃあああーーーーーー!!」

 突然木の実が割れ、そこには牙がびっしり並んだ大きな木の実が……いや、よくわからない生物が木の実に化けていたのだ!
「ああっ! ホノカさん、危ないっ!!」

「ホノカ………マウンテンスペシャルトルネードアタックっ!!」
 ばちこーーーーーーーんんんん!!
 哀れ。
 カヅチは、襲う木の実からホノカを護ろうとして逆に、素敵な一撃を食らってしまった。
 お星様がぱちぱち、そして、くらくらくら。
「ほ、ホノカ……さん………」
 遠くでカヅチを呼ぶ、ホノカの声が聞こえたような気がした。

「あ、起きた?」
 カヅチが目を覚ますと、そこにはホノカの顔が大きくあった。
「ほほほ、ホノカさん!?」
 起き上がろうとして、ずきりと鈍い痛みを覚え。
 結局、カヅチはまだ起き上がれなかった。
「あうううう」
 大切な人へのプレゼントが、大失敗に終わってしまった。
 予備に持ってきていた本物をようやく渡せたカヅチの気持ちは、かなりどん底。
 これじゃあ、嫌われてしまっても仕方ないかもしれない………。
 だんだん悲しくなって、涙が出てきた。
「大丈夫? まだ痛む?」
 そう言ってホノカは訊ねる。
「大丈夫、です。たぶん……」
「じゃあ、もう少しここで休んでいるといいよ。本当にごめんね」
 でも。
 ホノカにこうして膝枕してくれた事は幸せかもしれない。
 いや、幸せなはず!
 カヅチはそう思い、今の幸せをかみ締めていたのであった。
 ちょっと涙が止まらないが。


イラスト: Sue