●王子様の素敵なプレゼント
待ち合わせは、さえずりの泉の木の下で。
メアリーは自分の王子様……スバルを探していた。
「スバルちゃん、どこなぁ〜ん?」
頑張って作ってきたお菓子を手にメアリーは、鳥のさえずりが響く泉の畔を歩いていく。
「あっ♪」
そして、目当ての王子様を見つけた。
木々の隙間から零れるやわらかい日差しが、スバルを照らす。
そして、スバルもメアリーの姿を見つけて微笑んだ。
その笑顔が、眩しい。
(「やっぱり、スバルちゃんは、メアリーの王子様だなぁ〜ん☆」)
メアリーは勢い良く駆け出した。
「スバルちゃん、愛してるなぁ〜んっ!」
飛び込むように抱きついてきたメアリーを優しく受け止めるスバル。
「あっと。怪我はないですか?」
「メアリー、怪我してないなぁ〜ん。これくらいへっちゃらなぁ〜ん」
にこにこと言うメアリーに、スバル思わず苦笑する。
「あんまり心配させないでくださいね?」
そう言って、スバルはメアリーの頭をなでた。
暖かい日差し。
二人だけの素敵な時間……それはメアリーにとって夢のような時間であった。
「はい、スバルちゃん。あーんしてなぁ〜ん」
「あーん」
メアリーは、スバルの口にお菓子を入れる。
「甘くて美味しいです……」
口の中で広がる甘いお菓子。
スバルはゆっくりと、メアリーの持ってきたお菓子を堪能する。
「じゃあ次は……」
「メアリーさんの番ですね」
にっこりと微笑む二人。
「はい、あーんしてくださいね?」
「あーん♪」
ぱくんとメアリーもお菓子を食べる。
「美味しいなぁ〜ん♪」
幸せそうにメアリーが瞳を細めた。
二人は寄り添う。
「あ、メアリーさん」
「ん? どうかしたんなぁ〜ん?」
そう言ってスバルが取り出したのは小さな小箱。
「??」
「開けてみてください」
スバルの言われるまま、箱をあけてみると。
「わあ…………」
そこには、綺麗な指輪が収まっていた。
「これ……」
「貰ってくれますか?」
スバルからの思いがけないプレゼント。
「スバル、ちゃん………」
「私も……好きですよ」
二人は微笑む。
幸せなひと時を楽しみながら。
木々の柔らかな日差しを浴びて煌くのは、スバルから貰った指輪。
メアリーの指にある指輪の輝きは、まるで二人を祝福するかのようであった。
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守護士・スバル
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壁に耳あり障子に・メアリー
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イラスト: うおぬまゆう