●大好きな人と一緒に♪

 今日は特別な日。
 彼女と待ち合わせして、出かける楽しい日。
 どこに行こうか?
 何をしようか?
 何を話そうか?
「決まらないな………」
 思わず呟く。
 ならば………。

 やっと待ち合わせ場所にたどり着いたカナト。
 そこには、一足先にたどり着いていたリゼンが待っていた。
「遅れたね、ゴメン………」
「ううん、気にしないで。さっき着いたばかりだから」
 思わずカナトの顔に笑顔が浮かぶ。
 リゼンを見るとカナトは、笑顔が出てしまうのだ。
「さぁ、どこから見て回ろうか?」
 結局、カナトが出した答えは、リゼンに直接聞く事だった。
「だったら……」
 リゼンはカナトの耳元で囁いた。

「良い景色ですね……」
「本当……」
 丘の上に来た二人は、綺麗な風景を眺めていた。
 こうして、二人で綺麗な風景を見るのも、たまには良いかもしれない。
 二人は丁度良い木陰を見つけて、休憩する事にした。
「あ、そうだ。はい、プレゼント」
 そう言ってリゼンが渡したのは、美味しそうなお菓子。
「ありがとう、リゼン」
 嬉しそうにカナトは受け取った。
「食べてみて良いかな?」
「もちろんっ♪ 食べて食べて♪」
 許可を得たカナトはさっそく、お菓子を取り出し、食べてみる。
「美味しいっ!!」
「ありがとう♪」
 二人はお互い笑顔で。
「あ、カナト、ちょっと待って」
「え?」
 もう一つ、お菓子を取ろうとして、リゼンに止められたカナト。
「お菓子、ほっぺたに付いてるよ」
「え? どこ?」
 慌てて取ろうとするが、上手に取れない。
「ほら……」
 見かねたリゼンが付いていたお菓子を取った。
「あ、本当だ……」
 ちょっと恥ずかしそうに頬を染めるカナト。

 二人の時間は、まだ始まったばかり。
 どうやら今日も、二人にとって素敵な想い出になりそうだ。


イラスト: ぎん太