〜Prohibited love〜お味はいかが?

●二人のチョコレート

 二人っきりで朝露の花園を歩いていく。
「アヤちゃん、アヤちゃん、この花とっても綺麗ですよ〜」
「わあ、本当! あ、クーヤちゃん、あそこにある花も綺麗♪」
 二人は、ときどき立ち止まりながら、咲いている花を見て楽しんでいた。

「………アヤちゃん」
 どのくらい経っただろうか?
 クーヤがふと、立ち止まる。
「この花も綺麗……ん? どうかしたの?」
「今日は付き合ってくれて、ありがとうございます♪」
「どういたしまして」
 にこにこと微笑む。
「それで、ホワイトチョコを作ってきたんです。ちょっと休憩しましょうか?」
「賛成♪ わたしもクーヤちゃんのためにチョコを作ってきたんだよ」
 二人は休憩できる場所を見つけ、互いにチョコレートを取り出した。
 愛のこもったチョコレート。
 クーヤの持っているのは白いチョコレート。
 アヤの持っているのは黒いチョコレート。
「ふふ、お揃いだね。色は違うけど」
「そうですね、お揃いです」
 クーヤは、さっそく自分の持ってきたチョコレートをぱきんと割った。
「どうぞ、食べてください♪」
 そして、できたチョコレートの欠片を、アヤの口にそっと入れる。
「お味はどうですか〜?」
 不安げに訊ねるクーヤ。
 はぐはぐと食べて、そして幸せそうに微笑むアヤ。
「とっても美味しいっ♪」
「よかった………」
 今度はアヤの番だ。
 クーヤと同じく、持っていたチョコレートを割り、チョコレートの欠片を作る。
「はい、クーヤちゃん♪」
「あーん……」
 ぱっくん。
「美味しいです……とっても」
 幸せそうに微笑む二人。
 二人だけの甘い休憩は、チョコレートが無くなるまで続けられるのであった。


イラスト: さとをみどり