月の輝きと星のきらめきと……
●夜空の下の約束
二人はゆっくりと丘を登っていく。
「あっ」
石に躓き、転びそうになるエクセルを。
「大丈夫か? 足元には気をつけろよ」
そっと抱きとめるゴードィ。
彼らの目的地は、星屑の丘。
夜空が美しい場所であった。
この場所は、よく恋人達が訪れる事でも有名な場所。
幸いな事に、今は誰もいないらしく、ゴードィとエクセルの貸切状態だ。
二人は程よい木陰に座り、ゆっくりと空を見上げる。
「なんだか、吸い込まれてしまいそう」
うっとりとエクセルが呟く。
「そうだな。あまりに星が綺麗すぎて、エクセルが欲しいと言うんじゃないかって、ちょっとひやひやしていた」
「そ、そんな事、言わないわ」
そう言ってそっぽを向くエクセル。
二人は寄り添い、空を眺めている。
時折、落ちていく流れ星が、夜空のカーテンに彩を添える。
「エクセル」
「何?」
見上げるエクセル。
「何か用なの?」
「いや、ただ……なんとなく」
「なんとなく?」
「………なんでもない」
なんとなく名前が呼びたかったのだ。
大切な存在である、彼女を名を。
「なんでもないって……」
「気にするな。それよりも、ほら、また流れ星だ」
「話をはぐらかさないで」
ちょっとムッとしているエクセル。
用がなかったと言われたこと。エクセルの名を呼んだ理由を教えてもらえなかった事に、少し苛立っていた。
「どうしても言わないつもり?」
そのエクセルの言葉に、ゴードィは困ったように頷く。
「じゃあ、膝枕」
「膝枕って、俺のか?」
「他に誰かいる?」
こうして、エクセルはゴードィの膝の上を堪能していた。
「ゴードィ……」
呟くようにエクセルは口を開く。
「約束」
エクセルはそっとゴードィを見上げる。
「私を絶対に離さないコト……」
ゴードィはそっと瞳を細め、頷いた。
「ああ、何時までも一緒だよ」
星がまた、流れる。
まるで、恋人達を祝福するかのように……。
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誇り高き白鱗・ゴードィ
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蒼月・エクセル
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イラスト: 古雅ナオ