星灯りの下で

●星を眺めて

「綺麗な星だね……」
 ぼんやりと空を見上げるティナ。
 空には、数え切れないほどの星々が瞬いていた。
「ああ、綺麗な星だな……」
 ティナに寄り添うのは、ティム。
 ここは星屑の丘。
 夜空を楽しむには、絶好の場所であった。
 ティナとティムは、二人でのんびりと夜空を楽しんでいた。

 じーーーーー。
 ティムは思わず、ティナを見る。
「寒くないか?」
「ん? そうでもないけど」
「そうでもないってことは、寒いんだな」
「……ちょっとだけ、ね」
 ティムは立ち上がり、ティナの後ろに座った。
「こうすれば、後ろの風は来ないだろ」
「うん。………でも」
「何だ?」
「もっと近くにいてよ」
 そんなティナの声に、ティムは後ろからティナを抱きしめた。
「そうすれば、近くにいられる」
「う、うん………」
 どきどきと、心臓の鼓動が早くなる。
 少しずつ、少しずつ体が熱くなる感じがする。
 でも、これも悪くは無い。
 相手の体温を感じながら、一緒に夜空を楽しめるのだから。
「もっと近くで……ずっと、そばがいいねっ……」
 そう言って、ティナは空を見上げた。
「ティナ………」
 ティムは、もう一度、ティナを抱きしめた。
 なんて、こんなにも愛しいのだろう。
「ティム? 苦しいよ………」
 そういうティナに、ティムは。
「大好きだよ、ティナ……」
 囁くようにそっと告げた。
「あたしも………」

 空には満天の星々。
 それはまるで二人を祝福するかのように。
 きらきらと煌いていた。


イラスト: 黒澤真一