La etoile colline

●月影のKiss

 月が輝く夜。
 二人は星屑の丘に来ていた。
「アルビレオ、これ作ってみたんだけど……」
「何?」
 ルティスが渡したのは、綺麗にラッピングされた箱。
 さっそく受け取ったアルビレオは箱をあけた。
「お。お菓子か……」
「形とか味とか……あんまり良くないと思うけど……」
 そうルティスが告げる横で、アルビレオはさっそくいくつかを頬張っていた。
「早っ!!」
「ん? 何か言ったか?」
 きょとんとしながら、ルティスを見るアルビレオ。
「どう? 味の方は?」
「なかなか美味しいよ。ありがとう、ルティス」
 アルビレオの言葉に、ルティスは嬉しそうに微笑んだ。
 ちょっぴり形の悪いお菓子だが、味はなかなか良いようだ。
「あ、そうだ、オレからもプレゼント」
 そう言ってアルビレオが渡したのは、綺麗な宝石草。
「わあ……ありがとう、アルビレオ。………嬉しい」
 眩しい笑顔。
 アルビレオはそんなルティスの笑顔を見れただけで、幸せだった。

「くしゅん……」
 ふと、ルティスがくしゃみをした。
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫。……でも、ちょっと寒くなってきたわね」
「ああ、少し冷えてきたな……そうだ、こうすれば……」
 アルビレオは自分の着ていたマントをルティスと一緒に羽織った。
「あ、アルビレオ………」
「暖かいだろ、こうすれば」
 僅かに頬を染めながら、ルティスは頷いた。
「ルティス、ちょっとこっち向いて」
 と、アルビレオが急にルティスに話しかける。
「何?」
 ルティスはアルビレオを見た。
 それは一瞬の出来事。
 ルティスの唇が、アルビレオの唇に触れる。
 暖かい、吐息。
「この前みたいな事故じゃなく……な」
 ルティスの顔が真っ赤になった。
 そんなルティスの様子にアルビレオは嬉しくて仕方ない。
「アルビレオの、ばか……」
「たまにはいいだろ?」
 二人は寄り添い、空を見上げる。
 吸い込まれるような、美しい夜空を……。


イラスト: 水崎漣