今日はお菓子の日

●SWEET DAYS

 二人は仲良く、星屑の丘に来ていた。
「あのな、今日はお菓子を食べる日なんやって!」
 ミヤコが、兄から聞いた情報だった。
「へ? そうなのか?」
 全然、知らなかったファルク。
「ファルクには世話になってるから、チョコ? 一緒に食べれるといいなーって持って来たんやけど」
 思いがけない、美味しいお誘いにファルクは喜んで出かけた。
 もちろん、ミヤコの美味しいお菓子も一緒に。

 そして、丘の上。
「うーもー食えねっ!!」
 ミヤコの持ってきたお菓子は、あと少しで打ち止めだ。
 ファルクはお腹いっぱい幸せなひと時を、草の上で寝転がりながら満喫している。
「甘くて美味しくて、ちょっとしあわせやなぁ」
 隣でまだお菓子を食べているのはミヤコ。
 かなり幸せなせいか、微妙に舌足らずになっている。
「たまにはこーゆー恋人と過ごす甘い時ってのもいいよな」
 そのファルクの言葉に、お菓子を頬張るミヤコはこくこくと頷いた。
 ファルクは続ける。
「でもって今日は甘いから、明後日あたりは俺は辛いがいーな、辛い時!」
 がくっ。
 ミヤコは思わずこけそうになった。
「ファルク、そんなんちゃうやろ」
「いいじゃん。今日は甘い日なんだし、明後日は辛い日! よし、決まりっ!」
 それはミヤコが作るんですか?
 そんな言葉をぐっと心の奥底に、鍵を付けてしまい込んだ。
 恐らく、そんな突っ込みをしたら最後、ミヤコが作ることになりかねない。
「なーミヤコ」
「なに?」
「来年のランララの甘い時も、また一緒に過ごそうな。約束だぞ?」
 ファルクの提案。
「そうやね。そのときは、もっと用意せなあかんやろな」
「おう、楽しみにしてるぞ♪」
 ファルクはすっかりその気だ。
 ミヤコはそんなファルクを、微笑みながら見ていた。
 こういうのも、悪くはないと思いながら………。
「あ、最後のお菓子、私がもらうわ」
「え? もう最後っ!? 俺もほしいっ!!」
「ファルク、いっぱい食ったやん」
「いや、もうお腹すいたっ!!」
 くすくすと二人は笑う。
 結局、最後のお菓子は、仲良く二人で半分こ。
 美味しい時間はこうして、ゆっくり終わりを告げるのであった………。


イラスト: 麦白子