ランララ祭の一コマ

●暇なら一緒に

 暇。
 退屈。
 それを紛らわすために、ランララの女神の木の下まで来ていた。
「退屈だなぁ〜」
 だが、セルシウスは退屈だった。
 どうしたら、この暇と退屈を紛らわせる事ができるだろう。
「もう一度、ランララの試練やってみようかな?」
 思わず呟いてしまう。
 退屈すぎて、体が鈍ってしまいそうだ。
 そう思いながら、女神の木を横切ろうとして………。
「ん?」
 足を止める。何か、見知った者がいたような気がする。
 セルシウスの頭の中に、ぴこんと、明かりが灯った気がした。

 ぼうっとセリオスは周りの風景を眺めていた。
 何故、ここまで来てしまったのだろうとも思う。
 だが、来てしまったからには、のんびりとこの風景を楽しもう。
 そう思っていた。
「やっ♪」
 突然、後ろから肩を叩かれた。
 この気配。
 この声。
「…………何か用か?」
 セリオスには、誰が来たのか、すぐにわかった。
 セルシウスだ。
 セルシウスは、にこやかに微笑む。
「セリオス。場違いみたいだし、暇だから付き合いなさい」
 有無を言わさぬ強引さ。
「お、おい……ちょっと……まっ…………」
 セリオスに、拒否権はなかった。

 その後の二人の様子を、見た者はいない。
 ただ、分かっているのは……。
 翌日。疲れ果ててぐったりしているセリオスの姿が見受けられたという。
 二人は何処に行ったのか。
 そして、何をしたのか。
 それを知るのは、二人のみ。
 謎は深まるばかりであった……。


イラスト: 矢渡 朔