あたらしいみちを・・・
●雪景色と一緒に
雪。
さえずりの泉は一面、雪景色であった。
新しい雪に作られる、新しい足跡。
二人はゆっくりと、雪の道を歩いていた。
「寒くないですか?」
訊ねるスタイン。
「いいえ、大丈夫です」
そういうメイの言葉にスタインは苦笑する。
こういうときは、大抵、嘘をついている。
にこにこと微笑むメイだが、心配させないようにとごまかしたのだが、上手くいかなかったようだ。
ふわりと、メイの体に外套がかけられる。
「暖かいですよ」
「で、でも、それじゃあスタインさんが風邪をひいてしまいますわ」
困ったように眉をひそめるメイ。
ぽん。
スタインが手を打つ。何か思いついたようだ。
「では、こうしましょう」
スタインはメイの羽織った外套の中に入ったのだ。
「こうすれば、二人とも暖かいですよね」
「はい」
二人は微笑み、また歩き始めた。
まだ誰も通っていない道を歩く。
二人だけの足跡。
それが嬉しくて、いつもよりも余計に歩いているように思える。
「もう、一年が経ったのですね」
スタインの吐く息が白い。メイは静かに頷いた。
「これからも一緒に歩き続けられたら嬉しいのですが」
そう言って、スタインはメイを見る。
メイはこくりと頷いて。
「今年も2人で進んでいきましょう。この雪原に道を作るように、確実に前へ」
二人は微笑み合う。
暖かいぬくもりを感じながら、新たな道と共に。
二人は確かに、幸せという名の道を踏みしめていくのであった。
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エルフの医術士・メイ
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降りそそぐ木漏れ日・スタイン
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イラスト: 琥姫ミオ