●あたたかいおくりもの

　それは、綺麗な夜空。
　二人は寄り添い、歩いてきた。
　場所は星屑の丘。
　夜空を見上げるには、絶好の場所であった。
「リーク様、見てくださいな。こんなに星が綺麗なんて……素敵です……」
　セルフィナはうっとりと空を見上げて、そう告げた。
　隣に寄り添うのは、セルフィナの恋人のリーク。
「ええ、とっても綺麗でございますね」
　微笑みながら、リークは頷く。
　その星の瞬きは、まるで宝石のよう。
「何だか、あの星、リーク様に似ていません？」
「それを言うなら、あそこの星、綺麗なフィーナ殿にそっくりです」
　顔を見合わせ、微笑みあう二人。
　二人にとって、こうして二人でいられる時間が何よりも幸せだった。
「くしゅん」
　ふと、セルフィナがくしゃみをした。
「フィーナ殿？」
「大丈夫です。きっと誰かが噂をしているんですよ」
　そういうセルフィナにリークは黙って、来ていた上着を肩にかけた。
「リーク様………」
「あなたに風邪をひかれたら、困ってしまいます」
　その優しさが、セルフィナにとって何よりも嬉しかった。
「あ、そうでした。今日は暖かい飲み物を持ってきたんです」
　ぽんと手を打ち、取り出したのは、セルフィナ特製の手作りドリンク。
「葱を使ったジュースなんです」
　湯気の立つ暖かいジュース。
　それは、見るからに美味しそうであった。
　………ジュースというより、スープという感じもするが。
「フィーナ殿、ありがとうございます」
「いいえ、リーク様こそ、ありがとうございます」
　二人はまた、微笑みあい、夜空を見上げた。
　美しいこの夜空を、大切な人と共に………。


イラスト：杯 覇耶