ランララ聖花祭〜真昼の星屑たち〜
● 真昼の星屑たち
リツは恋人を待っていた。
花柄のワンピースに茶色のブーツ。
少しお洒落して、待ち合わせ場所に佇んでいる。
一年を振り返ると、月日がとても短く感じられた。
二人は去年のランララ聖花祭に付き合い始めたのだから、今日で丁度一周年だった。
黄色いリボンを巻いたピンク色のプレゼントボックスを抱いて、想いを馳せながら恋人を待つ。
「(私のような面倒な女に、よく付き合って下さったものです……)」
青く澄み渡る空を見上げて、彼への感謝で胸を満たした。
自分のことを好きだと言ってくれる本当に優しい彼と、今日、このランララの日にまた会える。リツは嬉しくて幸せで、人込みの向こうに見慣れた黒い帽子を見つけた時は、思わず満面の笑みを浮かべてしまった。
一年ぶりに訪れた星屑の丘で、アクセルは少し緊張気味に帽子をかぶりなおす。
愛しい恋人から渡されたのは、薔薇模様が入った黒皮のブーツ。
贈り物自体への喜びと、何より自分の好みを知り尽くしている彼女が一層愛しく思えた。
「リっちゃん、大好きだぜ!」
「わぁっ……」
感激のあまり恋人を抱き上げるアクセル。
リツは驚いたように小さく声を漏らしてから、ありがとう、と頬を染めて微笑んだ。
「アクセルさん、好きです」
まるで告白のような甘い言葉を素敵な恋人に向ける。
お姫様抱っこは恥ずかしいけれど、大好きな彼にされるのだから嫌なわけは無い。
はにかむようなリツの笑顔に、アクセルはますます笑みを深めた。彼女がどんどん愛しく思えて、人目を気にする余裕まで無くなる。リツの耳元に小さく囁く。
「……愛してるよ」
リツは応えるように彼の頬に軽く口付け、照れの混じった笑顔を向けた。
耳障りの良い可愛らしい声がくすくすと笑う。
「では、帰り道はご一緒しましょう?」
抱きかかえられた姿勢から地に足をついてリツは言った。
二人は心からの幸せそうな笑顔を浮かべ、手を繋いで帰り道を歩く。
握った手の暖かさに、心から感謝した。
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イラスト: 高芭タカヨシ