ランララの丘の上で〜2人の時間〜

● 2人の時間

 女神ランララの木の下で、待ち合わせをしていた二人。
「よっ、早いじゃないか」
 そう声をかけるのは、アルビレオ。
「そういうアルビレオこそ、早かったんじゃないの?」
 くすりと微笑み、ルティスが応える。
「そうか?」
 アルビレオは木の下で腰を下ろす。続いてルティスも隣に座った。
「アルビレオ……これ、受け取ってくれる?」
 そういって差し出したのは、綺麗にラッピングされたお菓子。
「ん、ありがとう。お、今年は去年と比べて形も良くなってるな」
 さっそく中をあけると、そこにはたくさんのクッキーが入っていた。
 その一つをすぐさま、口の中に入れるアルビレオ。
「うん、美味い」
「ありがとう……」
 ルティスは嬉しそうに微笑んだ。

「今年も2人でここに来れたなぁ」
 ふと、アルビレオは空を見上げた。
 去年の事を思い出しているのか、懐かしげな笑みを浮かべている。
「ええ」
 そのことにルティスは頷く。
「来年も来れたらいいわね」
 ルティスは呟く。
「来年だけじゃないさ、再来年も、その次もまた一緒に来よう」
 そういって、アルビレオはルティスの赤い瞳を見つめた。
「これる……かしら?」
 心配そうに苦笑を浮かべるルティスに。
「きっと来れるさ。オレが欠けることも君がいなくなることもない。オレは星煌の騎士長であ士なんだから」  そのアルビレオの言葉にルティスは嬉しそうに微笑んだ。
「そうね、期待しているわよ」
「どーんと任せておけって!」

 お菓子が無くなりかける頃。
「あ〜、何か眠くなってきたな。ちょっと疲れた……かな」
 そういって、草原に寝転がろうとするところを。
「待って。こっちの方が良いんじゃない?」
「ル、ルティス!?」
 ルティスは倒れこむアルビレオの頭をそっと自分の太腿に乗せた。
 俗に言う、膝枕だ。
「どう? いいでしょ?」
「あ、ああ……」
 照れたように頬を染めながら、アルビレオは応える。
「ねえ、目を閉じてくれる?」
「へ?」
 突然の申し出にアルビレオは戸惑ったものの。
「それじゃあ、お言葉に甘えて……」
 アルビレオはそっとその瞳を閉じた。
 そして……。

 さやさやと涼しい風が駆け抜けていく。
 大切な人との大切な想い出。
 今日の事はずっと、忘れないだろう。
 この、二人だけの時間を……。


イラスト: Aska