ランララ聖花祭　**プロポーズから一年**

● 何年の時が経とうと。

「ウッヘヘー！」
　怪しげな笑いが花園に響いた。

　愛しい人を後ろから抱き締めて、幸せに浸るデュラシア。
　何を隠そう、幸せの絶頂に居る彼が先程の叫びの主だ。
「俺たちはいちゃいちゃらぶらぶバカップル夫婦だもんねぇ〜」
　抱き締められながら愛しい人に身を任せ、花開くように微笑むアヤ。
「深い深ーい愛の絆で繋がっているラブラブ夫婦ですよねぇん」
　二人はじっと見詰め合う。
　一年前のランララ聖花祭に、デュラシアはアヤにプロポーズした。
　だからこそ二人にとって、今日はとても大切な記念日なのだ。
　大好きなデュラシアさんの為に一杯愛を込めて作りました、と頬を染めながらアヤはチョコレートを差し出した。デュラシアはしばらくチョコレートと彼女を見比べてから、ガバッと堪えきれない様子で彼女の身体を抱き締めた。
「がぶるるっはぁあ！　アヤちゃんかわい……！！」
「やーん、デュラシアさんったら♪」
　デュラシアの形の良い鼻からボタボタと溢れた鼻血を、手馴れた様子のアヤがハンカチで拭う。
「俺たちラブラブＭＡＸフィーバーだもんねぇ〜」
　すりすりと頬擦りする仲睦まじい二人。
「はい、あーんしてくださいです♪」
　手作りのチョコレートをいちゃいちゃしながら食べさせて貰い、もう一度デュラシアが鼻血を出した。アヤは顔を赤らめながら、やっぱり優しく彼のことを介抱する。
　アヤが朝露の花園で摘んだ小さな花をプレゼントすると、デュラシアは更に鼻血を噴いた。
　世界が赤く染まる頃、デュラシアは咳払いをひとつ。
「……なんだかんだで」
　照れたように少し崩した笑みを浮かべてから、きりりと真摯な瞳で言った。
「俺はずっとアヤちゃんと一緒に居てぇので、これからもずっとずっと、俺の隣で笑っていて下さい」
　アヤは彼の赤茶の瞳をじっと見詰めて、柔らかく甘い微笑で応える。
　朱に染めた頬で恥じらいながら身を寄せて、耳元に囁く。
「プロポーズされて一年ですが、愛は衰えること無く、むしろどんどん増加してます……♪」

「ぶはっ……アヤちゃん最高！　大好きッ！」
「もう、デュラシアさんったら。血が足りなくなっちゃいますよぅ〜♪」
　二人は去年も今年もいつまでも、ずっとラブラブバカップルなのです。



イラスト： 秋月えいる