仲良し?
● 友達以上恋人未満
特別な日。特別な場所で。
彼女は彼を待っていた。
来ないかもしれない、その彼を待って……。
女神の木の下。
木漏れ日が、木の下で待つ者達を祝福するかのように降り注ぐ。
「あれ? なんでおまえがここにいるんだ?」
彼女に声を掛けたのは、アルベル。
「あっ……アルベル……なぁ〜ん」
彼女、エヴァンジェリは、あたふたしながらアルベルを見た。
もしかしたら、誰かに会いに来たのかもしれない……。
そんな事を思ってしまう。
「おーい?」
「す、すまん、なぁ〜ん」
アルベルにぺこりと頭を下げて、エヴァンジェリはやっと口を開いた。
「そ、その……お前を……待っていた、なぁ〜ん……」
照れたように頬を染めながら。
「待っていた? 俺を?」
そのアルベルの言葉に、こくりとエヴァンジェリは頷く。
そして、そっと持ってきていたお菓子の袋を渡す。
「これを、俺に?」
アルベルの言葉に、エヴァンジェリは頷いた。
「……お前のこと……嫌いじゃないぞ、なぁ〜ん?」
エヴァンジェリがそう言うと、アルベルはにんまりと笑い、お菓子の袋を受け取った。
「そーかそーか、お前、俺のこと嫌いじゃないか♪」
「なっ!!」
ひょいっとエヴァンジェリを抱き上げ、アルベルは嬉しそうにエヴァンジェリに訊ねた。
「さて、どこか遊びに行くか?」
「あ、遊びに行くって、ど、どこになぁ〜んっ!?」
それよりも下ろしてなぁ〜んというエヴァンジェリを構わずに、アルベルは楽しげに笑うのであった。
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イラスト: 酔生夢子