想い・通じ・安らぐ・世界

● 想い・通じ・安らぐ・世界

 イヴとシェルティは、朝露の花園に来た。
 綺麗な花が二人を歓迎している。
 が、この二人はどうやら花よりも……。

 ごろんと、気持ち良さそうに花園で寝転がるのは、イヴとシェルティ。
「シェル……こぉやって、2人で一緒にねころがるの……ひさしぶりにゃぁv」
「うん、そうだね。こういうのも、たまには……いや、毎日したいかも」
 シェルティは優しくイヴに微笑む。
「シェルは、雨の日も寝転がるにゃ?」
 くすくすと楽しそうにイヴが答える。
「いや、それは別だよ……雨の日は別」
 少し困るシェルティの様子がイヴにはおかしくて。
「それにしても……綺麗なおはないっぱーい……お花屋さんひらけちゃうですねぅvv」
 ちょっと可愛そうになったので、話題を変えてみた。
「イヴのお花屋さんか……可愛いんだろうなぁ」
 その言葉にイヴは頬を染めて。
「……イヴ?」
「はう!! あ、ご、ごめんなさい……」
 どうやら先ほど、女神の木の下で襲ってきた睡魔が、また来たようだ。
 今は昼。
 丁度、日が暖かく心地よい時間だ。
 昼寝をするにはもってこいだろう。
「んー……あったかいし……眠いなぁー……?」
 シェルティは、イヴの頭を優しく撫でながら、そう呟いた。
「……シェル?」
「ここで、寝ちまおうか?」
 その提案にイヴは嬉しそうに微笑んだ。
「はいなのですよぅ」
 そして、イヴはシェルティの手を繋いで、恥ずかしそうにしながら。
「えへへぇv …………これからも………よろしく………なのゅ……」
 シェルティの隣に寄り添うように寝転がる。
 シェルティもイヴの方に顔を向けて、寝転がった。
(「願わくば……来年もこうして一緒にいられますように……なんて、ね」)
 その心の声は。
「シェ、シェル……聞こえているのですよぅ」
「あ、あれ、声に出してた?」
 照れたように頬を染めながら、シェルティは頭を掻いた。
「大好きって、いっぱい聞きたいけど……でも……シェルの言葉は何だって宝物で……イヴのココロの宝箱にはおさまりきらないくらいだから……たまに、で……いいのよぅ」
 イヴは顔を真っ赤にしながらそう答えた。
「何だか……そういってもらえると、嬉しいな。ありがとう、イヴ」
 そのシェルティの言葉にぶんぶんとイヴは首を横に振る。
「ねぇ、ねぇ……シェル………知ってたかにゃぁ? 出逢った頃から……ずっと、シェルのこと大好きだったのよぅ?」
「え? そ、それって……」
 イヴは恥ずかしそうに眠った振りをしてしまった。
「ちょ、イヴ、イヴ〜」
 顔を真っ赤にさせながら、イヴは寝たふり。
「イヴ……」
 シェルティも顔を真っ赤にさせながら、また寝転がる。
 気持ちのいい風。
 いつの間にか、二人は本当に眠り込んでしまった。
 幸せそうに、気持ち良さそうに……。


イラスト: 久保 しほ