チョコレートラブ 〜大切な人と大好きなもの〜
● 女神とお菓子とばかっぷる
今日は特別な日。
メルクゥリオは、てこてこと目的地にたどり着いた。
そこは女神ランララの木の下。
多くの恋人達が集う場所でもあった。
「うみゅ……着いたなのぉ」
そして、目の前の女神の木をゆっくりと見上げる。
「これが女神の木……すごいですなのぉ♪」
メルクゥリオの顔に、ほわんと笑みが浮かぶ。
と、そこで何かを思い出したように辺りを見渡した。
「……トーゴはまだみたいですね。のんびり待ちますなのぉ」
ちょこんと木の下に座り、バスケットの中身を見て、また笑みを浮かべる。
「ぽかぽかで気持ちいいですなのぉ♪」
ぽかぽか陽気に包まれて、メルクゥリオは大好きな彼のぬいぐるみを抱きながら、彼が来るのを待っているのであった。
一方、トウゴの方はというと。
「メルクゥ……待たせちゃったかな……?」
数々の試練を乗り越えるのに時間がかかってしまい、汗を拭いながら、彼女の元へと走っている。
と、メルクゥリオがたどり着いて、数十分が過ぎた頃。
トウゴは息を弾ませながら、女神の木の下にいるメルクゥリオの姿を発見した。
「うみゅ♪ トーゴなのぉ♪」
と、同時にメルクゥリオもトウゴの姿を見つけ、元気良く手を振っている。
トウゴもそれに応えながら、彼女の元にたどり着いた。
「……お待たせ……」
僅かに笑みを浮かべながら、トウゴはメルクゥリオの頭を撫でようと手を伸ばした瞬間。
「会えてうれしいなのぉ♪」
メルクゥリオは、トウゴの胸に飛び込み、抱きついてきた。
「おっと」
抱きつくメルクゥリオをしっかりと抱きとめ、トウゴは照れたように頬を染めながらも、メルクゥリオの頭を撫でた。
「……危ないから気をつけないと、メルクゥ」
「ごめんなさいなのぉ〜」
そして、メルクゥリオは自分の持ってきたお菓子の入ったバスケットを取り出した。
「めるくぅいっぱいお菓子作ってきたなのぉ。一緒にたべるなのぉ♪」
「あ、ちょっと待って。実はその……俺もお菓子を持ってきたんだ……」
照れながらトウゴが取り出したもの。
「チョコレートのお菓子がいっぱいなのぉ♪」
その箱には、沢山のチョコレート菓子が詰められていた。
「……そうだ、めるくぅが食べさせてあげるなのぉ♪ はい、あーん♪」
メルクゥリオは自分の持ってきたお菓子を一つだけ手に取り、トウゴの口元へと持っていく。
「……じゃあ、俺もメルクゥに食べさせてあげるよ……」
二人は少し照れながらも、互いのお菓子を食べさせ合う。
「はい、あーん♪」
「あーん」
二人の甘い時間が始まる……。
そして、お菓子が無くなりかけてきた頃。
トウゴはおもむろに口を開いた。
「メルクゥ……今日は本当に……ありがとうな……」
その言葉にメルクゥリオは首を横に振る。
「それはね、めるくぅも同じなのぉ」
そういうメルクゥリオの言葉にトウゴは微笑を浮かべた。
トウゴは少し照れながら、
「メルクゥ……大好きだ……。……絶対離さないからな……?」
その言葉にメルクゥリオも微笑み返す。
「めるくぅもトーゴ、らぶなのぉ♪」
こうして、二人はまた、抱き合ったのであった。
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イラスト: 秋月えいる