たまには素直な気持ちで……
● For a long time
ランララ聖花祭の日、ラクズとホムラは、さえずりの泉へとピクニックに来ていた。
「いい天気だな、ピクニック日和だ」
「泉も……キラキラしてて……綺麗……なぁ〜ん……」
周囲の景色を眺めながら、2人は泉の畔に腰を下ろすと、持ってきたお弁当を広げる。バスケットの中にはサンドイッチをはじめ、色々なおかずやフルーツが詰まっている。
「ホムラ……はい……」
ラクズは、予め用意していた水筒を取り出すと、その中身――ココアをカップに注いで差し出す。ホムラは、ありがとうと短い礼と共にそれを受け取ると、ほのかに温かいそれに口をつけた。
お弁当を食べたり、ココアを飲んだり。
周囲の景色を眺めたり、通り掛った動物と戯れたり。
そんな風に過ごしながら言葉を交わす……それは、とてもとても、穏やかな時間で。まるで2人を包むかのように、ゆったりと流れていく。
「これ……ホムラに渡そうと思って……」
そんな中、ラクズはチョコレートの箱を取り出した。自分とは違って、甘い物が苦手なホムラの為にと用意した、甘みを抑えたチョコレートを。
「ラクズ……ありがとな」
差し出されたその箱を目にしたホムラは、嬉しさの滲む笑みと共にチョコレートを受け取ると、早速その中身を1つ取る。
そのチョコレートの味は、確かに甘いという程の甘さは無い。
けれど……それとは違う意味では、とてもとても、甘さを感じるものでもあって。
「ラクズ……。ずっと、ラクズやラクズの大切な人を護っていきたいよ……」
大切な恋人の姿を見つめながら、ホムラはそう言葉を紡ぐ。たとえ、その先に彼女を泣かせてしまう結果が待っていたとしても……それでも、彼女を護りたいと、そうホムラは思う。
「ホムラ……」
その言葉に、ラクズは微笑みながら彼を見上げて。
「……ずっと大好き……なぁ〜ん……」
告げ返した言葉に、ホムラも嬉しげな笑みを浮かべた。
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氷結の夜・ラクズ(a14219)
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漆黒の月を守護する誠焔・ホムラ(a15589)
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イラスト: 吉野るん