髪を下ろしたら絶対に可愛いって、俺が保証するぜ

● お菓子よりリボン!?

 ひらひらと白いリボンが揺れる。
 なんだか落ち着かない。
 普段しない格好をしているせいだろうか?
 それとも、今日が特別な日……ランララ聖花祭だからだろうか?
 そわそわしながら、スクルドは待っていた。
 彼が、デスペルが来てくれるのを信じて。

「くそ、何度か戻されたし、散々だったぜ」
 ぶつぶつと呟きながら、デスペルはやっと、目的地である女神の木の下にたどり着いた。
 そこには愛らしいスカートを着た、スクルドがいた。
 スクルドはデスペルの姿を見つけ、手を振りながら駆け寄ってきた。
「お疲れ様、大丈夫……じゃなさそう」
「これぐらい何でもねぇぜ」
 そういって強がって見せるデスペル。
 内心、本当はかなり疲れてへとへとだったのだが……。
(「うわ、か、可愛い……」)
 スクルドのスカート姿に見惚れて、疲れは何処かに行ってしまっている。
「あ、あの……あのね……その……これ、プレゼン……あっ!」
 スクルドはさっそくプレゼントのお菓子をデスペルに渡そうとしたのだが……。

 ぽとん。

「ご、ごめん。わ、崩れてないかな? ど、どうしよ……」
 草原に落としてしまった。
 堅い道ではないので、さほど被害はないと思われる。
 スクルドは、急いで地面に落ちたお菓子を取ろうと手を伸ばし。

 くいん。

 頭が後ろに引っ張られた。
 いや、違う。
 頭につけていたリボンをデスペルが引っ張ったのだ。
「ちょ、ちょっと……何をするつもりかな……?」
 ムッとした顔で頭を抑えるスクルド。
「リボンを解いてみようと思っただけだぜ? そこまで嫌がらなくていいじゃねぇか」
「……それは……私が前に決めた事だから。自分に課した掟は破れないよ。……でも………」
 引っ張られたリボンを元に戻しながら、スクルドはそっぽを向いてしまう。
「そのうち教えてくれるんだろ? 俺はいつでもいいぜ。そう、いつでもな」
 その優しい響きのするデスペルの言葉。
「………さぁ、分からないよ……」
 ぼそりと、スクルドは呟いた。

「これ、もらっていいんだよな?」
 下に落ちているお菓子を拾い上げ、デスペルは訊ねる。
「落としちゃったやつだけど、いいの?」
「いいんだよ。……ありがとうな」
「……ど、どういたしまして」
 二人は照れたように笑いあう。
「スクルドも食べるか? 食べさせてやるぜ」
「なっ、何をいってるんだよ、もうっ!」

 その後、二人は仲良くスクルドの作ったお菓子を食べていた。
 甘くて解けてしまいそうな、そのお菓子。
 そのお菓子は二人に幸せな時間も、プレゼントしてくれたようだった。


イラスト: 和鎖枝ちぎり