ランララ 「Eternal Love」

● ランララ 「Eternal Love」

 初めて作ったお菓子。
 それを手にして、リヴァは彼が来るのを待っていた。
 星屑の丘、ここが約束の場所だった。

 この二人、実はランララ聖花祭に参加するのも初めて。
 だからだろうか、かなり緊張しているようだ。
 緊張というよりは、不安……。
 不安が徐々に募っていく。

 初めてのチョコレート。
 甘すぎず、苦すぎずってやつだけど、クロウ、喜んでくれるかな?

 そんな他愛の無い考えが徐々に変化していく。

 クロウはボクの大切な人。
 ボクのたった一つの居場所。
 けど、ほんの少し怖い……。
 裏切られるかもしれないって、そんな想いが心の隅っこにあって、不安で……。

 だから思い切って聞きたい。怖いけど……聞きたいんだよ。彼の気持ちを。

「遅いよっ」
「悪かったな」
 クロウがやってきたのは、リヴァが付いてからそれほど経ってはいない。
 けれど、リヴァにとってその時間は恐ろしく長く感じられた。
「クロウ、はいこれ、ボクからのプレゼントだよ」
「サンキュ、ありがとな」
 クロウはそういって、差し出されたプレゼントを受け取る。
「さっそく、食べてみてもいいか?」
 その質問にリヴァは頷いた。
 さっそくクロウは包みを開けて、チョコレートを取り出し、食べてみた。
 甘くもなく、苦くも無い丁度良い甘さが口の中に広がる。
 どうやら、リヴァが丁度良い甘さにして作ったようだ。
「美味い」
「本当?」
 そう嬉しそうに微笑むリヴァに。
「この愛の甘さをリヴァにも……」
「え?」
 チョコレートを含んだクロウは、そのままリヴァと口付けを交わす。
 リヴァの口にも、クロウと同じ甘さが広がった……。

「な、何しているんだよ……」
 恥ずかしそうに俯くリヴァ。顔を真っ赤にさせている。
「美味かっただろ?」
「………うん」
 それは否定できない事実。
 だから。
「ずっと、ずっと貴方のコト愛してる。だから……これからも傍に……居てください」
 今までいえなかったことをあなたに。
「ああ、俺も……側にいてくれるか?」
 同じ問いかけ。
 それはつまり……。

 空には輝く星々。
 その下に寄り添うようにいるクロウとリヴァの姿。
 きっと今日の事は忘れないだろう。
 二人にとって大切な思い出なのだから……。


イラスト: 山葵醤油 葱