幸せの光

● 幸せの光

 数多くの恋人達が、その愛を告白する日。
 ランララ聖花祭。
 セイとフォルディンもまた、愛を告白する恋人達の仲間入りを果たす。
 甘いチョコレートケーキ。
 美しい星空の演出。
 その結果は、そう、これから……。

「フォル、受け取れ!」
「え? これを僕にくれるの? ありがとう、セイちゃん!」
 セイは、そう言って、持って来たチョコレートケーキを手渡した。
 果たしてフォルディンは、ケーキを美味しいと言ってくれるだろうか?
 それとも………。

「ああ、美味しかった♪ ……流石、セイちゃんだよね」
 チョコレートケーキを食べ終えたフォルディンの感想は、セイにとって嬉しい言葉だった。
「そ、そうか?」
 ほっとした表情を浮かべ、セイは空を見上げた。
 今は夜。
 そして、ここは美しい夜空を見られる場所でも知られる、星屑の丘だ。
「星が……すっごい綺麗で、なんか……」
 セイは思わず、隣で座っているフォルディンを見た。
 フォルディンもまた、セイと同じく、空を見上げていた。
 綺麗な星が、闇に煌く。
 それはまるで、空に浮かぶ宝石のように。
 キラキラと、キラキラと。
「うん、とっても綺麗だよね」
 そう言って、セイを見る。
 セイと視線が合って、フォルディンは微笑んだ。
「満天の星空も綺麗だけど、セイちゃんの方がずっと綺麗だと思うな」
「な、何を言って……」
 フォルディンはそのまま、セイを抱きしめた。
 背中からセイを包み込むようにと。
「急に、その、何だよ……」
 真っ赤になったセイの顔。
 幸か不幸か赤く火照ったセイの顔は、フォルディンには見えなかった。
「こうやって抱きしめると暖かくって……」
 嬉しそうな弾んだ声が後ろから聞こえる。
「セイちゃん……大好きだよ? ずっと、ずっと一緒に居てね?」
 セイの耳元で、フォルディンはそう囁いた。
 セイは真っ赤になった顔を俯かせながら、確かにこう告げる。
「ずっと一緒にいるって……約束しただろ?」
 それは、セイの告白でもあった。
「ありがとう、セイちゃん。僕、嬉しいよ」
 抱きしめる腕に力を込めて。
「ちょ、ちょっと待て、キツイってばっ!」
「これくらい大丈夫大丈夫♪」
 二人だけの時間は、なおも続く。

 いつか来る別れのとき。
 だからそれまで……今の幸せを大事にしたい。
 だって……こうして一緒にいる事が、最高の幸せなのだから……。


イラスト: たけのこたろー