大人の交際には、まだ早い

● 星空の元、想い重ねて

 ランララ聖花祭の夜、ロバートとジェイニーは星屑の丘を訪れていた。
「は〜い、ロバやんはここに座って」
「はいはい」
 ジェイニーは星を見るのに良さそうな場所で足を止めると、その場所にロバートを座らせ、自分も彼を椅子代わりにするかのように腰を下ろし、背中をロバートに預ける。
「わぁ……星が綺麗だねぇ……」
 頭上に広がる星空に、思わずジェイニーは声を上げる。その言葉につられるように、ロバートも視線を上げた。
 試練を駆け抜けてプレゼントを貰い、朝露の花園やさえずりの泉を巡り、ジェイニーが作って来たお弁当を一緒に食べて……そんな風に過ごした一日の様子を、ロバートはふと脳裏に思い浮かべる。
 フォーナ感謝祭の日には、ほとんど構ってあげられなかったけれど、その分も今日は楽しんで貰えただろうか……?
「……寝ちゃったか」
 ふと視線をジェイニーの顔に落としたロバートは、彼女がいつの間にか、すやすやと寝息を立てて眠っている事に気付く。
「昼の間に、はしゃぎすぎちゃったか……」
 やれやれと言うかのように笑みを漏らしながら、ロバートはジェイニーの髪を撫でる。
 素直で元気なこの少女と、出会えた事への感謝を胸に抱きながら。
「……お」
 ふと空を見上げたロバートは、すっと流れていく星を見つける。
 その軌跡を見つめながらロバートは願う。
 彼女が人として、そして冒険者として、更なる成長を遂げるように……。
「あと、ついでに……」
 この平和な時間が続きますように――そう願いを掛ける中、流れ星は消え去って行った。

 ロバートに抱きかかえられるようにして眠ったジェイニーは、一つの夢の中に居た。
 ――誰かが、結婚式を挙げている。
 片方は、ロバートだ。そしてもう片方は……大人になった自分の姿だと、ジェイニーはすぐに解った。
 その光景に、つい頬が緩むのを感じながら、ジェイニーは思う。
 これは夢。夢であると、誰よりも自分自身が知っている。
 けれど……いつかは本当に、こんな風になれるように……。

「むにゅ……頑張るぉ〜……」
 彼の温かいぬくもりに包まれながら、その優しい手に髪を撫でられながら、ジェイニーは眠りの中で決意した。


イラスト: 鍵裕一郎