待ち人来たりて笑顔の花咲く♪
● 待ち人来たりて笑顔の花咲く♪
エスティアは、女神の木に寄り掛かりながら、約束の相手が姿を現すのを待っていた。
時は太陽が沈み、月が昇り始め……吹く風を冷たく感じ始めた頃。
エスティアは両手に息を吹きかけながら、少しだけ不安げな顔になる。
(「タンつんとの待ち合わせ場所って、ここで良かったんでしょうかね……」)
もしかして何か勘違いしていて、実は星屑の丘が本当の待ち合わせ場所だったりしたらどうしよう?
……なんて、不安に感じてしまうのも、全てはタンツェンが来ないのが悪い! ……と、エスティアは思う。
「まだでしょうか……?」
丘の向こうの、タンツェンが来るであろう方角を見渡しながら、エスティアは彼が現れるのを待つ。
(「……お、いたいた」)
そんなエスティアの姿を、ひっそりこっそり見つめている影が1つ。
それこそがエスティアの待ち人であるタンツェンだった。
(「さぁて……ここからどうしよっかな〜?」)
すっかりエスティアを待たせてしまったのだから、本当は今すぐ出て行くべきなのだろう。
でもでもでも……ついつい、むくむく〜っと、イタズラ心が芽生えてしまったわけで。
(「んー、木の陰に隠れて……タイミングを見計らって、シュタッとエストの前に現れるだすよー」)
そんな事を考えつつ、抜き足差し足忍び足。 タンツェンは木の陰まで近付くと……すばやい身のこなしで、エスティアの前に現れる!
「えぅっ!?」
ぱちくり。
向こうから現れると思っていたはずのタンツェンが、いきなり背後からしゅたっと現れたのだから、エスティアが驚いて、一体何がどうしたのだろうかと戸惑ってしまうのも、そりゃあ仕方の無い事だろう。
「……来るのが遅くなってしまって、本当にゴメンなぁ」
ばっちり成功だとにんまりしつつも、遅れてしまったのは事実だからと、まずは素直に謝るタンツェン。 そんな彼の様子を見ながら、何度かぱちぱちとまばたきを繰り返したエスティアは、落ち着きを取り戻すにつれて、彼が来てくれた事への喜びに、顔を明るくする。
「……ちゃんと来てくれたんですね〜、タンつん♪」
ちょっぴり頬を膨らませながらも、でも喜びを隠せない……そんな表情で、エスティアはタンツェンを見つめると、そんな彼の手を引いて。
「まだ祭りは終わっていませんからね。あちこち回って遊びましょう〜♪」
そう早速歩き出そうとするエスティアに、タンツェンは1つ頷き返し……2人は一緒に肩を並べて、夜のランララの丘を歩くのだった。
<
星屑・エスティア(a33574)
&
マグロ一名様予約入りま〜す・タンツェン(a31108)
>
イラスト: わかば