ランララ祭〜星屑が繋げる秘めた想い〜

● 星に願いを、君との愛を。

 月と星が優しく光る、夜の星屑の丘。
 オボロは空を見上げながら、人を待っていた。
「迷ってるのかな……?」
 約束の時間はもう過ぎているのに、相手はまだ現れない。
 もしかして、自分の誘いが嫌で、それで現れないのだろうか……?

「オボロ?」
 不安になったオボロに掛かる声。それは紛れも無く、彼が待っていたカーフスのものだ。
「……もしかして、待たせすぎたか?」
 カーフスは申し訳無さそうな表情で告げる。
 オボロに誘われて、来る事にはしたのだけれど……思いの外、試練に手間取ってしまい、来るのが遅れてしまったから。
「ううん、そんな事ないよ!」
 その言葉に、オボロはぶんぶんと首を振って……2人は、丘の適当な一角へと移動すると、そこに腰を下ろす。
「ところで……何で、俺を誘った?」
 草の上に座ったカーフスは、ずっと気になっていた事を尋ねる。
「なんで、って……そりゃあ……」
 その問いに、何故か顔を赤くしながらオボロは返事をする。けれどその答え方は、遠回しというか、間接的というか、まだるっこしいというか……。表現が曖昧で、何を言いたいのか、カーフスにはハッキリとは理解できずにいた。
(「……き、気付いてない……?」)
 そんなカーフスの様子に、オボロの方は小さな溜息を1つ。
 伝えたい事は、たった1つ。
 でも、直接言うのは恥ずかしいから……遠まわしに、そっと、伝えたいと。そう思っていたのだけれど。
 相手が気付いてくれないのなら、あとはもう、直接ハッキリと言うしかないのだろう。
「……俺は、カーフスのコト、誰より好きだよ……だから、傍に居させて欲しい……」
 1つ深呼吸をして、オボロは一気に吐き出す。
「オ、ボロ……」
 その言葉に、カーフスは胸に衝撃が走るのを感じる。
 今まで、驚いたり動揺なんてした事なんて無かったのに……。
 ――彼の、想いは。自分がずっと秘めてきたものと、同じだったと、知ったから。
「……カーフス、お前、笑って……」
「え?」
 衝撃の直後に湧き上がる気持ち。それは知らずカーフスに笑みをもたらしていて……。カーフス自身、そう指摘されて、始めてそれに気付く。
「……俺も、お前の事が好きだ。……傍に居てくれ」
 そう告げるのと同時に、カーフスの唇がオボロの頬に触れて。
 こんな返事が戻ってくるだなんて、きっと無いだろうと思っていたから……オボロは真っ赤になりながらも、嬉しそうに笑う。

 星空の下で結ばれて、繋がった想い。
 ……それを祝福するかのように、すっと一筋の流れ星が、2人の上できらめいた。


イラスト: シェル