● 清らかなる煌き

 今日はランララ聖花祭。
 恋人達のお祭りではあるけれど。
 大切なお友達は、シアにとって恋人と同じくらい大切だから……。

 シアはゆっくりと、待ち合わせ場所である朝露の花園に入っていく。
 どうやら、お相手の大切なお友達はまだきていないらしい。
「もう少し待とうっと」
 綺麗な花を眺めながら歩いていると。
「シアちゃーんっ!」
 シアの姿を見つけ、駆け寄ってくるのはアデイラ。シアの大切なお友達だ。
「アデイラさん! 来てくれたんですね。嬉しいです」
 二人は素敵な花畑の横にそっと腰を下ろした。

「あたしね、シアちゃんはてっきり、愛しの旦那様と一緒にすごすんやと思ってたんよ」
 アデイラがそう話しかける。
「旦那様の事は忘れてないですよ。後でたっぷりと時間を取って会うのです」
 そういうシアになるほどぉ〜と納得するアデイラ。となると、今回アデイラを呼んだ理由は?
「今日は、日頃の感謝の気持ちを込めて、プレゼントがあるのです」
 シアはそういって、アデイラに渡すプレゼントを差し出した。
 ふんわり優しい水色のハンカチ。
 その縁は繊細なレースで彩られ、角に白薔薇の刺繍。
 そして、小粒パールのきらきらした装飾付きでもあった。
「いやぁ〜! シアちゃん、めっちゃ嬉しいんよ〜♪」
 そういって、アデイラはぎゅっとシアを抱きしめる。
「喜んでもらえて、シアも嬉しいです」
「ありがとうね、シアちゃん。このハンカチ、大事にさせてもらうわ」
 二人は微笑み合う。幸せな、幸せなひと時。
 でも、もっと幸せになりたいと思うのは、ちょっと贅沢かしら?
「あ、そうだ……それからこれも持ってきたんですよ」
 ランララといえばやっぱりチョコレート。
 シアの旅団で売っている、ミルク・ストロベリー・ホワイト3色の薔薇型チョコ『Rose chocolat』。
「あ、これ……」
「アデイラさんお気に入りだったから……一緒に食べましょうなのですよ♪」
 以前、アデイラがこのチョコレートを気に入っていたのを覚えていたシアは、それを持ってきたのである。
「シアちゃん……本当に、嬉しいわぁ〜、ありがとうね」
 幸せそうなアデイラの笑み。
 それを見ているだけで、心が満ち溢れて……幸せいっぱいな気持ちになれる。

 このランララという素敵な日に、あなたの笑顔に会えて。
 シアは本当に嬉しいんです。
 もっともっとたくさんお話しましょうね。

 二人のとけてしまいそうな幸せな時間は、始まったばかり……。


イラスト:龍胆