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星燈る夜はとても深くて
静かな夜。
聞こえるのは、さわさわと草を揺らす風の音のみ。
そう、この場にいるのは、二人だけ……。
「アルファードさん」
少し緊張した面持ちで、ルシュエルは声を掛けた。
「何かな?」
アルファードの響く声に促されるかのように、ルシュエルは彼の前に立つ。
「これを受け取っていただけませんか?」
そういって、ルシュエルが差し出したのは、青色の包装がなされたプレゼント。
アルファードはありがとうと伝え、さっそくその包装を開けてみた。
その中に入っていたのは。
「トリュフです……その、アルファードさんのお口に合いますとよろしいのですが……」
たくさんのトリュフの中で一番大きいのを摘みあげ、さっそく口の中に入れるアルファード。
静かにそのトリュフを堪能し、アルファードはやっと口を開いた。
「とっても美味しいよ。ありがとう、ルシュ」
アルファードはそう言って、優しくルシュエルの頭を撫でてやった。
その言葉にルシュエルは嬉しそうに微笑む。その笑顔はとても幸せそうであった。
気づけばもう、あの美味しいトリュフはなくなっていた。
少し名残惜しい気もするがと、アルファードは隣に寄り添うルシュエルを見る。
「本当に美味しかったよ」
改めてもう一度、アルファードは感想を述べた。
「喜んでいただけて、本当に……本当に嬉しいです」
何故なら、今回持ってきた、このルシュエルのトリュフ。実は一つ一つ心を込めて作ったものであった。
ルシュエルの愛が入っているのなら、なおの事、美味しく出来上がったに違いない。
「ルシュ……」
アルファードは思わず、ルシュエルを抱きしめた。
壊れてしまうものを抱きしめるかのように、優しく優しく……。
「アルファード……さん……」
ルシュエルも恥ずかしそうにはにかみながら、頬を染めた。
「ルシュ……」
アルファードの甘い声が響く。その声に惹かれて、ルシュエルは顔を上げた。すぐ目の前に、アルファードの優しい笑顔があった。
「これからも私の傍にいて」
「はい。ずっと、アルファード様のお傍に……」
ルシュエルの最後の言葉は、アルファードの深いキスによって消えてしまった。
けれど、伝わっているだろう。
唇から伝わる熱い温もりで……。
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イラスト:綾乃ゆうこ
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