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二周年記念〜3度目のランララ聖花祭〜
今日はランララ聖花祭。さえずりの泉では、沢山のカップル達が訪れていた。
時折吹く風は冷たいものの、日差しは春のものに近い暖かさを持っていた。
「フィー君。無理言って、ごめんね?」
セイルフィンは、隣にいるフィリスにすまなそうに謝った。
彼女がこの時間に誘ったのは理由がある。
今までとは違う風景を、一緒に見たかったから。
「いいえ、フィンさん」
それを知ってかそうでないのか。フィリスはセイルフィンの言葉に続けた。
「夜もいいですが、昼の聖花祭は、貴方をしっかり目に映すことができますから」
そう、優しく微笑み返した。
セイルフィンは赤面しながら、慌てて話題を変えた。
「そ、そうだっ! 去年、寮の地下で見つけた迷宮っ! ……あのときの探索はとっても面白かったよね」
「ええ、最後には桜の種を見つける事ができましたね……」
二人はたくさんの話をした。
忙しくてなかなか2人で出かけられなかったことや、起こった事、楽しかった事など、全て。
去年の事を振り返りながら、フィリスはふと気づいた。
「今年でランララも3度目ですね」
「ああ、そういえばそうだね」
フィリスは改まった顔で言う。
「この2年間有難う御座いました。これからもよろしくお願いします」
「うん、また来年も一緒に参加しようね」
2人は互いに掛け合った言葉に、嬉しそうな微笑みで頷きあった。
気が付けば、陽も傾き始めてきた。
「そろそろ、戻りましょうか?」
そう提案するフィリスにセイルフィンは。
「……あ、ちょっといい? フィー君、少し屈んで♪」
フィリスを止めて、お願いするセイルフィン。フィリスは突然の申し出に困惑している様子。
「屈むって……」
「いいからいいから。ほら、早く」
不思議そうな顔のまま、フィリスはセイルフィンに言われるままに屈んだ。
セイルフィンは、そんなフィリスのマントを押さえ、悪戯っぽく微笑み……。
ちゅ。
それは、さえずりの泉に住む鳥が、何かをついばむようなそんな、淡い口付けであった。
「じゃ、帰ろっか♪」
セイルフィンは照れながら、叫ぶかのようにそう告げると、さっさと丘を下り始めた。
「い、今のって……」
突然のキスにフィリスは真っ赤になりながら、驚き、硬直していた。
「フィー君、早く早くっ!!」
セイルフィンの呼ぶ声に、フィリスはやっと我に返る。
「はい、今行きます」
僅かに頬を染めながら、普段は見せない、その幸せそうな顔で、セイルフィンの元へと向かう。
3度目のランララ聖花祭。
2人にとって、忘れられない想い出ができたようである……。
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イラスト:霧生実奈
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