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ランララの星空、貴女と共に。
夜空を眺めながら、マリーとシオンは寄り添っていた。
ランララ聖花祭の日。
2人は星屑の丘に来ていた。既に日はなく、代わりに沢山の星々が空を彩っていた。
「シオンはん?」
「あ、す、すみません……」
マリーの声にシオンは慌てて起きる。
けれど、やはりまたうとうとと、船をこぎ始めていた。
(「最近、お疲れなんか……シオンはん」)
そんなシオンを心配そうにマリーは見つめていた。
(「静かな場所で、愛しの人と二人でノンビリ……良いですね」)
幸せそうにシオンは夜空を見上げていた。隣には愛しいマリーもいる。
けれど、最近無理しすぎたのか、妙に眠い。疲れが溜まっているのだろうか?
「シオンはん」
「ご、ごめんなさい……」
謝るシオンにマリーは微笑む。
「うちが膝枕しますから、少し横になります?」
「すみません、それじゃ……お願いします」
マリーの提案にシオンは甘える事にした。
「ん、マリーさんの膝枕……気持ちいですよ……」
「そう言うてもらうと、嬉しいどすわ」
見上げると、夜空とマリーの顔が見える。シオンはゆっくりとその瞳を閉じた。
「シオンはん、ええ寝顔どすな………」
とても気持ち良さそうというか、幸せそうに眠っているシオンに、マリーは小さく呟いた。
(「何だか見てるうちの方も幸せな気分になりますえ。この時間が永遠に続けばどれだけうれしい事か……」)
マリーの顔にいつの間にか笑みが浮かぶ。
ふと、マリーは空を見上げる。
すっと流れる、美しい星が見えた……。
「……! なんて綺麗な星空……」
2年前、冒険者になりたての頃に、同じ場所で見た星空……でもマリーの瞳には、今日の星空は一段と美しく映った。
まるで、2人を暖かく見守るように……。
「これが……ランララの加護どすやろか?」
眠っているとわかっていても、けれど、届くことを信じて、マリーはシオンに尋ねた。
数分前。そう、マリーが小さく呟いたとき。
シオンはその声で目を覚ましていた。
そのまま目を開けると、マリーは夜空を見上げ、感動している様子。
シオンは声を掛けずにマリーの顔を眺めていた。
(「マリーさん、綺麗ですね……」)
思わず、そんな事を想ってしまう。
だが、そんな想いも気持ちのいい太ももによって、遮られてしまった。
シオンは静かに瞳を閉じる。
そして、聞こえるマリーの声。
「これが……ランララの加護どすやろか?」
「そうかもしれませんね……」
「シオンはん、起きてはったんどすか?」
マリーの声がくすぐったく感じる。シオンの顔に自然に笑みが零れた。
「ちょっと前に。……でもまた……眠くなって……」
またシオンは眠ってしまった。
マリーも思わず笑みを零す。
「おやすみ、シオンはん」
マリーはまた夜空を見上げる。
満足げに幸せそうに微笑みながら、ずっと……。
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イラスト:おおゆき
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