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秘密の言乃葉
女神ランララの木の下で、二人はいた。
木漏れ日が暖かく、心地よい。
誰かの前で無防備になるなんて、ついぞ経験のないこと。
いや、長らく忘れていた。
愛しい君がここにいて、笑っていて。
それで、他には何が必要だろうか。
……ぁー……駄目だ、眠たくなってきた。
春はまだ先だっていうのに、この凶悪な眠気は何だろう? せっかく、二人で居るのに……。
エフォニードの膝枕の上で、ルクレツィアは凶悪な眠気と、激しい戦いを繰り広げていた。
そんな彼の髪を、エフォニードは優しく梳いている。
こうして大切な人の存在を感じる程、幸せなことは無い、です……。
君はきっと……わたしが無くした片翼。
出会って、もう大分経つ、けれど……。
今でも……君に触れる度に愛しくて、君の一挙一動、君の一言にドキドキする。
「寝るかもしれない……俺」
ルクレツィアは目を瞑って、そう宣言した。
どうやら、凶悪な眠気に勝てなかった様子。
「……そういえば、ルークの寝顔、見たことないかも、です」
ルクレツィアの髪を梳きながら、エフォニードはそう呟いた。
「俺はエフィの寝顔見たこと、たくさんあるけどね」
一度、瞳を開いて、エフォニードの顔を見上げるルクレツィア。けれどもまた、すぐにその漆黒の瞳は閉じられる。どうやら、かなりの眠気のようだ。
「……ルーク?」
思わずエフォニードはルクレツィアの顔を覗き込む。
その気配に、ルクレツィアはまた目を開けた。
「……ね、エフィ。耳貸して?」
君がいて、陽光があたたかくて。
君が笑ってくれていて、風が心地よくて。
たまには告げてみようか。
『好き』じゃなくて………。
「いいですよ」
そう答えながら、エフォニードの胸は、どきどきと高鳴る。
自分の耳をそっと、ルクレツィアの口元に寄せた。
「愛してる」
そのルクレツィアの囁きは、甘くエフォニードの心まで響き渡る。
ならば、言葉じゃなく君に触れて……愛しさを伝えよう。
二人は互いに微笑みながら、優しい口付けを交わした。
穏やかな陽だまりの下で……。
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イラスト:碧川沙奈
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