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【ランララ聖花祭】甘いお菓子、いただきます
小さな小船が泉の上で揺れる。
小船には二人の女性が乗っていた。
お揃いのワンピース。
アスカは黒。ウィンスィーは白。
どちらのワンピースも、アスカが選び、贈ったものであった。
揺れる小船の上で、ウィンスィーは緊張した面持ちで、持って来たお菓子を差し出す。
スティック型のチョコレート菓子。
「アスカ……一緒に食べませんか?」
「いいよ。じゃあ……」
「交互にではなくて、その……一緒にです」
「?」
ウィンスィーは小さな声で、説明する。
「こっちがアスカで、こっちが私で……」
「ああ、なるほど。両端から食べるんだな、ウィンシ」
そのアスカの言葉に、ウィンスィーは頬を赤く染めながら頷いた。
端から食べていけば、その後は……。
改めてウィンスィーがお菓子を差し出した。その端にアスカが口を付ける。
それを見てウィンスィーも、もう一方の端に口を付けて食べ始める。
ぱりっ。
ゴールにたどり着く前に、真ん中で折れてしまった。
「こ、今度はゆっくり食べてくださいね」
「ん」
アスカはこくんと頷き、もう一度、お菓子を口に含む。
ゆっくりゆっくり……ぱきっ。
もう少しというところで、また折れてしまった。
「難しいな」
「……はい……」
それでも、二人は諦めずに何度も挑戦し……。
二人の顔が少しずつ近づいていく。
あと少し、あと少しで今、咥えているお菓子がなくなる。
もうすぐ迎えるそのときを感じて、ウィンスィーは、わぁ〜と嬉しそうに笑みを浮かべた。
そして、二人の唇が重ねられる。
「……ん……で、できました」
「ああ……」
二人は顔合わせ、幸せそうに微笑んだ。
何か悪戯しようと考えていたウィンスィー。
結局なにもできずに、二人で幸せな甘い時間を過ごしていた。
「ウィンシ……もしよければ、もう一度……やってみないか?」
「喜んで」
もう一度、お菓子を食べた後に口付けを交わす、二人の姿が見えた。
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イラスト:秋月えいる
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