● 星空の下の2人〜流れ星見つけた♪

 夜空に星が煌く頃。
 ファリーとサヤトの二人は、星屑の丘へと来ていた。
 星が綺麗に見える場所。
 それはすぐに見つかった。しかも椅子代わりにできる岩も一緒に。
 二人は仲良く座り、広い星空を見上げた。
「久しぶりにゆっくり星を見てる気がするのですぅ。とっても綺麗ですねぇ♪」
「……僕も……星、久しぶりに見たな……」
 ファリーの言葉に、サヤトも頷いてみせる。と、ファリーはそのまま、サヤトへと体を寄せた。
(「……ファリーちゃんに寄りかかられると……僕、焦っちゃって……あんまりお話……できなくなっちゃう……」)
 心の中はかなり焦っているものの、慣れてきたのか、サヤトの口が僅かに開いた。
「えっと……もう少しだけ、待っててくれると嬉しいな……こうやって……話せるようになったように……僕……ゆっくりだけど、変わっていくから……」
 その言葉にファリーは微笑んで頷いた。

 ファリーも無理強いをしているわけではない。
 ただ、側にいたい。
 サヤトを側で感じたい。
 ただ、それだけなのだ。
 だからこそ、サヤトの心が落ち着くまで、静かに待っていた。

 と、そっと、サヤトの手がファリーの手に触れる。
 そして、そのまま手を繋いだ。
 まだ少し緊張しているようだが、変わろうと努力しているサヤトにファリーは嬉しくなってしまう。
 どちらが先だったかは覚えていない。
 だが、その二人の手は互いに優しく、そして強く握られた。
 互いの相手を放さないように、ずっと……。

 気づいたのは、ファリーが先であった。
「あ、流れ星なのですぅ♪ サヤ君見てくださいですよぉ♪」
「……ほ、本当だ……」
 二人は微笑みながら、その流れ星を見つめていた。

 流れ星が消える前に、ファリーの心に願ったのは。
(「サヤ君とずっと、一緒にいられますように」)
 二人にとって、この夜が忘れられない思い出になるように……。


イラスト:秋月えいる