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あなたに贈り物
今日はランララ聖花祭。
だから、ラッピングしたお菓子を持って、女神の木の下で待ち合わせ。
「チョウブさん、これ……」
木漏れ日の下で、ウェンディはそうお菓子を差し出した。
味は完璧。……つい、涎が出てしまいそうなのをぐっと耐えながら、ウェンディはそれを渡す。
「……ずっと、離さないでね」
「ありがとうウェンディ。……ええ、ずっと離れませんよ」
そう見上げるウェンディの視線を受け止め、チョウブは大切そうにラッピングバッグを抱く。
「開けてもいいですか?」
「もちろんです〜」
こくり頷き返すウェンディに、チョウブは早速包みを開ける。中からは覗くのは、その愛情を示すかのように、大きな大きなチョコレート。
「美味しそうですね。今、食べてもいいですか?」
さっきと同じように頷き返すウェンディを見て、チョウブはチョコレートを取り出すと、そのまますぐに一口食べて、途端に広がる甘い甘いチョコレートの味わいに、幸せそうに目を細めた。
(「うう、おいしそぉ……おいしい、チョコなんですよぉ〜……」)
そんなチョウブの様子を、ウェンディはじーっと見つめている。
いいなあ……とは口にしてはいないけれど、まるでそう言うかのように指をくわえながら、じーっとチョコを見つめるウェンディの様子に、チョウブはくすりと笑みを浮かべて。
「……一緒に食べましょうか?」
「いいの?」
その誘いかける言葉に、両手を上げて喜ぶウェンディ。じゃあ、とすぐさまチョコレートを割ろうとしたチョウブだけれど、不意にその手が動きを止める。
(「……ちょっと縁起悪いでしょうか」)
1度気になってしまったら、もうこのチョコレートを割る事なんて出来ない。
ならば、とチョウブが考え付いたのは……。
「じゃあ、反対から齧ってくださいね」
そう、チョコレートの片端を咥えて、反対側を指差す事だった。
「え……えええええええ!」
その行動に、思わず叫び声を上げるウェンディ。
それって、それって……!
顔が一瞬で真っ赤になって、心臓が破裂しそうなくらい早鐘を打つ。
でも、チョウブの様子は冗談とかじゃなくて、正真正銘本気だという事が分かるから……。
「う……ん……」
意を決して、ウェンディもぱくんとチョコレートに齧りついた。
ちっちゃく一口チョコレートを口の中で溶かせば、広がるのは甘い味。
美味しいけれど、でも、それどころじゃなくて……ああ、でも。
(「……やっぱり美味しいですよぉ……」)
そう、もう一口齧りついてしまうウェンディだった。
今日はランララ聖花祭。
だから、女神の木の下で、二人で一緒に過ごしましょう。
……甘い、甘い、とろけてしまいそうなチョコレートを食べながら……。
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イラスト:濱田
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