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朝露の花園にて〜告白〜
色とりどりの花が風に揺れている。
ここは朝露の花園。ランララ聖花祭の日にルイとジュダスはここに来ていた。
「……好意があるから……かな?」
柄にもなく、少し考え込んでジュダスは、ゆっくりと答えた。
その言葉は、ルイにとっては嬉しい言葉。
「……えっ、はい、えっと……」
けれど、どうやって伝えればいいのだろうか? どきまぎしながらルイが言葉にしたのは。
「この場合は、ありがとうございま……す……?」
最後が疑問系になるのは、ルイの不安の表れ。たぶん、これで合っているはずと思っているのだが、かなり不安だ。
その様子にジュダスは思わず笑みが零れる。
自分を傷つけないように喜ばれるように言葉を選ぶルイ。それがなにより嬉しく、可愛らしく思う。
「でっ、それは何にたいしてのお礼だい?」
つい、意地悪してしまう。
ルイはあわあわとさらに慌てて。
「あっ、その……」
困った様に頬を染めながら、言葉を紡いでいく。
「嬉しかった、というのと、私で良かったのかな、というのと……えっと、その……」
最後には今にも泣き出しそうな顔でルイはジュダスを見ていた。
そんなルイの頭をジュダスは優しく撫でる。
「ご免、ご免。少々意地悪な質問だったね」
「あっ、うう、ひどいです……」
ジュダスの意地悪にルイは拗ねている様子。
「一応謝ったつもりだよ。それ以外に、何かして欲しいのかい? 言ってごらん」
ルイの頭を撫でながら、ジュダスは訊ねる。
「あうぅ……。えっと、じゃあ、ちゃんとした言葉で聞かせて欲しい、です……」
最後の方は小さな声で。話している間に恥ずかしくなったようだ。
「言ってごらんとは言ったけど、誰もやるとは言って無いよ」
その言葉にがーんとショックを受けるルイ。ジュダスはまた、笑みを見せた。
「っと意地悪な冗談はともかく……」
優しい瞳で、ルイを見つめて。
「好きだよ、ルイ」
その告白に、ルイはとても驚くと同時に、嬉しさがこみ上げてくる。
「……あ……はい……こんな私でよろしければ、これからもよろしくお願いします……」
照れたように俯くルイをジュダスはそっと抱き寄せる。
「此方こそもよろしく、ルイ」
囁くように耳元で。
「はい……嬉しいです……」
ジュダスに抱きしめられながら、ルイは嬉しそうに恥ずかしそうに微笑んだ。
幸せな二人の告白。
二人の時間は、きっとこれからもずっと……。
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イラスト:笹本ユーリ
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