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星屑流麗 ―キミがくれた温もり―
今日はランララ聖花祭。
好きな人と過ごせる日だから、いっぱい楽しまなきゃ♪
でも……初めて参加するから……どうすればいいのかな?
リィナールの手を引いて、ルシエルは星屑の丘に来た。
もう既に日も暮れて、空には星が瞬き始めている。
二人は人気のない場所を見つけ、そこに座った。
「何だか、今日はリィナ、静かだね」
「あ、その、す、すみません……その初めてだったから、緊張してしまって」
くすっとルシエルは微笑み、いいんだよと告げる。
「実は僕も緊張してたんだ。リィナと同じ事を思ってるなんて、ちょっと嬉しいかな」
そのルシエルの言葉にリィナールは頬を染めた。
と、二人のいる丘にすっと風が横切る。
少し肌寒い風。二人を振るわせるには充分で。
「ちょっと寒いね……僕のコート、着る?」
「え? だ、ダメです! それだと、ルシエルさんが寒くなっちゃいます」
「でも……」
「だったら……その、一緒に入りませんか? その方が暖かいですから」
そのリィナールの提案にルシエルは頷く。
「そうだね。折角だし、お言葉に甘えて、お邪魔させてもらうよ」
ルシエルはそう言って、コートを広げ、その片方をリィナールの肩に掛けた。
「うん、リィナの言うとおり、二人の方が暖かいね」
二人はお互い見つめ合い、そして微笑んだ。
「あ、そうでした。あの、ルシエルさん……これ食べてくれませんか? 味は大丈夫です、しっかり味見しましたし……だから、その……」
リィナールの差し出したもの、それはリィナールお手製のチーズケーキであった。
「チーズケーキ……」
しかも、チーズケーキはルシエルの好物でもある。ルシエルは驚き、リィナールを見た。
「リィナ……これって……」
ルシエルの言葉に、照れたようにリィナールは頷く。
「前に好きだと言っていましたから……」
ルシエルは、さっそく一切れを貰って眺める。ちょっと形が歪な所があるが、香りは素晴らしい。
ぱくんと食べてみる。甘い味が口の中にさっと広がった。
「美味しい……」
「本当ですか? ……嬉しいです……」
そのルシエルの言葉にリィナールは嬉しそうに微笑んだ。
「そうだ、リィナも一緒に食べようよ。一人よりも一緒に食べた方が美味しいからね」
「……いいんですか?」
「もちろん」
二人は一緒にチーズケーキを食べ始めた。甘いチーズケーキが一層甘く感じたのは気のせいだろうか。
数時間後、二人は仲良く丘を降りていく。
「リィナ……ありがとう」
ルシエルは、飛び切りの笑顔でそう告げた。お菓子の事だけでなく……。
(「何よりも、僕をパートナーとして、選んでくれた事に……」)
そのルシエルの想いを込めた言葉に、リィナールは嬉しそうに頷き、微笑むのであった。
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イラスト:百耶といろ
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