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大好きの証
「うわぁ、美味しそうです……!」
フィルフィスは、ミスラが差し出した箱の中身を見て、思わずそう口にしていた。
ここは女神の木の下。
そして、今日はランララ聖花祭。
この場所で待ち合わせていた二人は、ついさっき、落ち合ったばかりだった。
「チョコなら上手く作れると思って……フィルフィスさん、どうぞ」
「ほ、本当に……いいんですか……?」
「はい……♪」
思わず聞き返してしまったフィルフィスへ、こくんと頷き返すミスラ。
フィルフィスとミスラ、どちらも、その頬がちょっぴり赤いのは、この状況にお互い照れてしまっているから、なのかもしれない。
(「まさか、こんなに素敵なチョコレートを貰えるなんて……」)
この上ない嬉しさを感じながら、箱の中に詰められたチョコレートの1つへ手を伸ばすフィルフィス。
……思いきって誘ってみて、本当に良かったと、そうフィルフィスは思う。
ミスラに、ランララ聖花祭への誘いを告げたのは、ほんの数日前。
彼女が微笑みと一緒に頷いてくれただけでも、とっても嬉しかったのに。
今は、あの時よりも更にもっと、もっと嬉しかった。
「……お味は、どうでしょうか……?」
「とっても甘くって……美味しいです……」
少し不安げに尋ねてきたミスラに、フィルフィスは満面の笑顔で頷き返した。
その返事に、ミスラも嬉しそうに「良かった」と微笑む。
心を込めて作った手作りのチョコレート。チョコならうまく作れる自信はあったけれど、実際にフィルフィスに食べて貰うまで、それを気に入って貰えるかどうか、ちょっぴり不安だったから……ようやく、胸を撫で下ろす事が出来た。
「もう1つ良いですか?」
「勿論です。どんどん食べてくださいね」
フィルフィスの問いかけに、そうミスラが頷き返すと、大切なものに触れるかのように、またチョコレートへと手を伸ばし、もうひとかけら食べるフィルフィスだった。
そうして、二人一緒に過ごすランララ聖花祭。
少し照れながら食べるチョコレートは、甘くて美味しくて……。
二人を包む風と陽射しは、どちらも暖かくて、柔らかくて……。
共に過ごす幸せを感じながら、相手の事が大好きだと、そう互いに再確認するのだった。
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イラスト:縞海すずめ
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