● ランララ聖花祭・女神の木の下で

 待ちに待ったランララ聖花祭。
 早くライトと待ち合わせした場所へたどり着きたかった。
 が、しかし。
 忠告を無視して先に進んだら、罠だったり。
 一心不乱に筋トレしている人に話しかけたら、スタートに戻されたり。
 やはりデンジャラスコースは、その名の通り危険がデンジャラスコースであった。
 そんな試練を乗り越えて、たどり着いた女神の木の下。
 そこには、ライトが手を振って、待っていた。
「グリュウ、こっちなぁ〜んよ」
「ライト、遅くなってすまんなぁ〜ん」
 ボロボロになったグリュウは、ライトの元に駆け寄る。
「グリュウ、大変だったなぁ〜ん?」
 ぴこっと首を傾げるライトに。
「ちょっとだけ、なぁ〜ん」
 そう安心させるように告げるグリュウ。実際はかなり手こずったのだが……それは内緒にしておく。
 二人はそろって木の下で腰を下ろした。
「はいなぁ〜ん。頑張っていっぱい作ったなぁ〜ん」
 ライトはそう言って、グリュウに大きな袋を手渡した。
「ありがとうなぁ〜ん!」
 グリュウはさっそく、その袋を開けると。
「す、凄いなぁ〜ん!」
 チョコレートやクッキーなど、美味しそうなお菓子がたくさん入っていた。
「召し上がれなぁ〜ん」
「いっただきますなぁ〜ん!」
 さっそく、チョコレートを手に取り、ぱくんと一口。
「美味しいなぁ〜ん! がんばって作ってくれたなぁ〜んね。ありがとうなぁ〜ん」
 喜ぶグリュウを見て、ライトも嬉しそうに微笑む。
「でも、一人じゃ食べきれないから、ライトも一緒に食べるなぁ〜んよ」
 グリュウはライトにクッキーを差し出した。
 ライトは嬉しそうにそれを受け取り、ぱくんと食べる。
「ありがとうなぁ〜ん。……うん、美味しいなぁ〜ん」
 そういうライトの手首には、前にグリュウがあげたブレスレットが輝いていた。
 もちろん、グリュウもライトがプレゼントしたマフラーをつけていた。

 甘くて幸せな時間。
「また来年もこの木の下でお菓子をいっしょに食べようなぁ〜ん♪」
「はい、なぁ〜ん」
 二人は女神の木の下で二人だけの約束を交わした。
 また来年、ここに来れますようにと願いを込めて……。


イラスト:Bee