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…ずっと、いっしょ。
日が暮れて、すっかり夜の闇に包まれた、さえずりの泉のほとりを、ハルキとセリスは手を繋ぎながら歩いていた。
夜になってしまったからか、名前の由来となっている鳥達のさえずりは聞こえない。
二人きり、静寂に包まれた泉を、月明かりに照らされながら一緒に歩く。
「……思えば、もうフォーナから2ヶ月も経ったんじゃな」
「うん……。まだ、あんまり実感は無いけど……」
ぽつりと呟いたハルキの言葉に、こくんと頷き返すセリス。
それは長いようでいて、一瞬のようでもあって……そんな時間。
「今思うと、もう少し告白とか気の効いた台詞が出てくれば良かったのじゃが……」
必死じゃったしのぅ、と呟くハルキの言葉に、セリスは首を振る。
「私はかっこいー言葉よりも、想いをがつーんてぶつけられた方がいいしー。十分、伝わってるよ?」
「そうか、なら幸いなのじゃ」
そう笑うセリスに、ほっと安堵を浮かべつつ、そうだ……とハルキは不意に思い出して。
「それと、ふぉんだんしょこらは美味しかったのじゃ。今日は生憎と返す物が無いゆえ、また後日返礼をしたいのじゃが、良いかのう?」
「ハルキが喜んでくれれば、お礼なんていいよー。うん、こうやって二人でいる時間が、一番のプレゼントだしー」
お菓子の礼を言うハルキに、セリスはまた首を振る。
そして、そう笑う彼女の姿に、ハルキも「そうか」と一緒になって笑みをこぼす。
「……うむ、あの、その……じゃな」
そうしてまた、月明かりを頼りに歩く中、ハルキは少し顔を赤くしながらセリスを見る。
「……散歩中なら、人目はそんなに……気にならないと、思うのじゃよ」
そう言いながらそっと、体をセリスの方へ寄せるハルキ。
恥ずかしそうにしながらの彼の様子に、気付いてセリスは「うん」と頷いて。
「ゆっくり、回ろ?」
「うむ……たまには、こうするのも悪くはないのじゃ……」
そうゆっくりと手を引いて歩き出すセリスの言葉に、ハルキは頷き返して、その隣に並ぶ。
(「それに……まだまだ、これからだしー……ね♪」」
そんな彼の姿を振り返りながら、セリスはくすっと笑う。
そして、二人一緒に夜空を見上げたり、月や星の光に照らされた水面を眺めたりしながら、さえずりの泉の周囲を、ぐるりと一周して歩くのだった。
ぎゅっと、大切そうに、お互いの手を握り合いながら……。
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イラスト:明原るんば
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