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星屑の円舞曲
試練を越えて、無事に女神の木の下で出会えた二人は、そのまま星屑の丘へと移動してきた。
この丘からは麓に広がる街を一望できて……その景色は、とても素晴らしいものだった。
「晴れて良かったですねぇ」
頭上に広がる雲ひとつない青空と、麓の街を眺めながら、そうリツはしみじみと呟いた。
もし雨が降っていたら、こんな景色なんて見れなかっただろうから……。
「そうですねっ! きっと、女神様がお天気にしてくれたのですよっ」
こくこく頷いてみせたルーヤは、そう適当な場所に腰を下ろす。そう考えたらちょっぴり素敵でしょ、と笑うルーヤに、リツは優しげに微笑みながら頷いた。
そのまま、他愛のない話を楽しみながら、二人は星屑の丘での時間を楽しむ。
ゆったりと過ぎているようで、でも楽しい時間はあっという間に過ぎて……次第に空が茜色に染まり、やがて、辺りに夜の帳が下りていく。
「綺麗な月ですねっ」
「でも、ルクの方が綺麗ですよ」
「も、もうっ、リツさんったら……!」
空に浮かんだ満月を見上げてルーヤが呟けば、そう真顔でリツが告げて。恥ずかしさを誤魔化すように立ち上がると、ルーヤは「なんだか踊りたくなっちゃう夜ですねっ!」なんて言い出す。
「というわけで踊りましょう!」
全然筋は通っていないが、彼女の中ではそれで問題ないらしい。
そんなルーヤの様子を、リツは微笑ましく思いながら、彼女の手を取った。
「こんな感じでしょうか?」
「そうそうっ。くるくる〜って」
ダンスのようなステップを踏み始めたリツに合わせつつ、その場でくるりと回るルーヤ。
二人は月明かりの下、くるくる、くるくると即興のダンスを楽しむ。
ダンス、と呼ぶには滅茶苦茶かもしれないし、作法も全然なっていないかもしれない。
でも、こうして二人で過ごすのは、とても幸せな事だから……だから、別に構わないのだ。
……それに今は、誰か他の人が、見ている訳ではないのだから。
「ねね、リツさん、ほ〜らっ」
「そんなルゥさんこそ、足元には気を付けて下さいね?」
お互いがいれば、それだけで幸せになれる。
そんな、ささやかで、でもとても当たり前な事を噛み締めて、二人は楽しげに踊り続けるのだった。
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イラスト:梅田ユキオ
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