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Faites un voyage de noces sous un arbre
「あれ、シエル」
「あ……」
女神の木の前で、二人はそうバッタリ顔を合わせた。
時刻は、約束よりも少しだけ前。相手を待たせまいとして、お互いに少し早めに女神の丘を目指した二人は、ほぼ同じタイミングで女神の木へ到着したのだ。
「ふふ……気が合いますね」
「まさか、ここまでピッタリだとは思わなかったぜ」
思わず笑うシエルに、スケジも笑みを見せる。
シエルは、そんな彼の為に用意したお菓子を取り出すと、早速女神の木へ奉納する。
「ランララ様のご加護がありますように……」
そんな祈りと共に奉納したお菓子を、振り返ってスケジに渡すシエル。
スケジは箱を開けると、彼女を真似するかのように、チョコレートをひとかけら女神の木へ供えた。
「女神様の祝福がありますように……ってな」 」
これからも、ずっと一緒にいられますように……。
そんな願いを込めたチョコレートを残し、二人は歩き出した。
そのまま、やって来たのは朝露の花園。
二人は手頃なベンチを見つけると、そこに並んで腰かけた。
シエルはバスケットの蓋を開けると、用意してきたお菓子と紅茶を広げる。
「色々用意してきましたから、どんどん食べて下さいね」
どれにします? と尋ねるシエルから、まずはクッキーを受け取るスケジ。彼がそれを食べている間に、シエルは紅茶の準備をして彼に渡す。
「じゃ、乾杯……ってのも、ちょっと変か?」
「そんな事ありませんよ」
ティーカップを鳴らして、二人は照れ恥ずかしそうに顔を見合わせる。
「……そうだ。シエル」
ふと、スケジは口を開くと、自分の首元へ手を伸ばした。
今日のお菓子と紅茶……そして、何よりも、今ここにシエルがいること。
そのお礼として、スケジは何が出来るかと考えて、彼女にプレゼントを贈る事にしたのだ。
自分が下げている、このネックレスを。
「いいんですか?」
「ああ。それに……」
同じ物なら、もう1つあるから。
そう呟いたスケジが手を開くと、そこにもネックレスがあった。
「じゃあ、お揃い……ですね」
自分で言いながら、恥ずかしそうに照れるシエル。
そんな彼女の様子にスケジもまた顔を赤くする。
「さてと……そろそろ行くか」
「そうですね、人も多くなってきたみたいですし……」
そのまま、しばしティータイムを楽しんでいた2人だったが、周囲に人の姿が増えてくると、バスケットを片付けて立ち上がる。
一緒に過ごした時間は、決して長くはなかったけれど……。
並んで帰路につく二人の顔には、満足そうな笑顔が浮かんでいた。
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イラスト:かりん
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