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ずっと一緒に居れたら良いな
ランララ聖花祭の日、キールディアとシェルディンは、さえずりの泉を訪れていた。
泉のほとりに敷いたシートに座ると、バスケットを置いて、中から出したタルトや紅茶を広げる。
「キールディアさん、どうぞ」
タルトを切り分けたシェルディンは、それをキールディアに差し出した。
「ありがとう、シェルディン」
にっこり微笑みながら皿を受け取ると、早速フォークを伸ばすキールディア。
一口それを食べて、思わず美味しいと声を上げる。
「そう……良かったです……」
そんな彼の反応に、ほっと嬉しそうに目を細めて、シェルディンはタルトを食べるキールディアの姿を見つめる。
「? シェルディンは食べないのか?」
「ふふ、そうですね。いただきます」
そんな彼女に怪訝な視線を返すキールディア。シェルディンが美味しそうに食べる姿に、ほのかな幸せを感じながら、シェルディンもまたタルトを切り分けて、自分の皿に載せた。
「おいしい……」
そして、一口噛みしめながら思う。
今、こうしてキールディアの側に座って、彼と二人だけで過ごす昼下がり……。それは、シェルディンにとって、とても幸せで楽しい時間だった。
「……はじめは、誘っても宜しいかと悩んでしまいましたけど……今は、本当に良かったと思えます。こうやって、キールディアさんと楽しい時を過ごせますから……」
恥ずかしそうに少し俯きながら、そうシェルディンは呟いた。
あの時出した勇気を、もう1度搾り出すように。
思いきって告げるシェルディンの言葉に、キールディアは微かに驚きを浮かべる。
「シェルディン……」
それは、キールディアもまた抱いていた想いに通じる物だったからだ。
綺麗な風景、美味しいお菓子。何より……シェルディンと一緒にいられる幸せ。
それだけで今、自分の頭は、いっぱいになってしまっているのだから……。
「……もう少し、ゆっくりしていこうね? 時間が許す限り、私は貴女の側にいたいな……」
嬉しそうな笑みを浮かべて、そう確かめるように告げたキールディアの言葉に、シェルディンは顔を真っ赤にしながらも、嬉しそうに微笑みながら「はい」と頷いた。
二人の間を、穏やかに流れていく時間……。
そんな彼らを、周囲でさえずる鳥達が、暖かく見守っていた。
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イラスト:羽月ことり
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