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幸せのお返し
やっと。
やっと、お返事をもらえました。
ずっと不安で、苦しくて切なくて……そんな事を思っていたなんて、なんだか、悪い夢を見ていた気分です。
いえ、今も素敵な夢を見ているような気分です。
額にキスしてもらえるなんて、思っていませんでしたし……
だからその……私も何か、お返しをと思うのです。
ささやかですが、ありったけの感謝と幸せを込めて。
……………な、なんだか緊張してきましたっ!
で、でも……でも、お返しはしませんと…………。
さあ、勇気を出して、私!
ルルナとビルフォードは、さえずりの泉で過ごした後、仲良く手を繋ぎながら丘を降りていた。
そう、二人はもう帰るのだ。
「今日は楽しかったですね、ルルナさん」
話しかけるのは、ビルフォード。
「は、はいっ」
ビルフォードに話しかけられ、ルルナはあたふたと落ち着かない。
いや、これは落ち着かないというのではなく、何故か緊張している様子。
「?」
と、ビルフォードが首を傾げたときだった。
くんと、ルルナの手がビルフォードの手を引っ張った。
「えっ!?」
ビルフォードは驚きながらも、引かれるままに少し屈むような形でルルナを見る。
ちゅ。
二人の頭の中が、一瞬、真っ白になった。
「………その、私も大好きです」
顔を真っ赤に火照らせながら、ルルナはそう、ビルフォードに告げた。
そう、ルルナはビルフォードの頬にキスをしたのだ。
先ほど、してくれた告白とキスのお返しに。
かなり緊張して、ぎゅっと目を瞑りながらの淡いキスであったが、ビルフォードにとって、それは紛れもないルルナからの素敵なお返し。
「もう、ほんっとに可愛いなー、ルルナさんはっ」
ビルフォードは恥ずかしそうに俯くルルナを、後ろからぎゅっと抱きしめた。
ルルナさんが、まさかこんな行動に出るとは思いませんでした。
キスした後、慌てて先に行こうとするあたり、ルルナさんらしいというか。
それに、ちょっと慌ててるルルナさんが可愛いし。
ちょっとだけこのまま……時が止まればいいのに。
二人は幸せそうに丘を降りていく。
こうして、二人の記念すべきランララ聖花祭は、幕を下ろしたのであった。
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イラスト:アルミ
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