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ランララ聖花祭
自分から、思い切って誘ったランララ聖花祭。
ヒカルは、待ち合わせ場所である朝露の花園に来ていた。
「ジンさん……」
緊張した面持ちで、ヒカルはジンが来るのを待っていた。
ジンもまた、会場へと急いでいた。
ヒカルがジンを呼んだ理由。
それは何か、ジンは既に知っていたのかもしれない。
だが、それでも、何かを期待せずにはいられない。
「ヒカル……」
ジンは彼女の名を呟いた。
「ジンさんっ」
やって来たジンに向かって、ヒカルは駆け出す。
「そんなに急ぐと転ぶぞ?」
「大丈夫ですよ」
ヒカルは嬉しそうにジンの手を引き、花園の中へと入っていく。
そして、綺麗な花の咲く草原に座った。
本当は不安だった。
去年のフォーナ感謝祭。
そこで、ジンの好きな女性が他にいる事がわかったのだ。
ある意味、ハプニングといっても良いかもしれない。
だからこそ、今回のランララ聖花祭で、はっきりしておきたかった。
今、目の前にいるジン。
ヒカルは意を決して、プレゼントを渡す。
「チョコレートケーキ……」
ジンの顔が僅かに綻ぶ。
と、ふわりともう一つ。
「こ、これも……受け取ってもらえますか?」
ジンの頭には、ヒカルの作った花冠が乗っていた。
「ヒカル……」
「きゃ……」
ジンはすぐさま、ヒカルを抱きしめた。
ジンの顔も実は、ヒカル同様、赤く染まっていた。それを隠す為に、ヒカルを抱いたなど、いえるだろうか?
「ありがとう、ヒカル………愛している」
感謝の気持ちをこめて、優しく強く抱きしめる。
「ジンさん……」
愛しい人の腕に抱かれて、ヒカルもジン以上に頬を染めながら、嬉しそうに微笑んだ。
心地よい風が吹く。
花園の花と、そしてジンの頭に乗せた花冠が揺れた。
二人を祝福するかのように、嬉しそうにと……。
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イラスト:東原史真
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