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優しげな星光の下で 大きな樹の上から
夫婦になって、最初のランララ聖花祭を迎えた。
去年も二人で参加したが、あの頃はまだ結ばれる前の事。
だから、今回が初めて。
二人とも何か、去年とは違う気分を感じていた。
「今日は星がきれいだから、高いところへ行こう」
そう提案するのはコウショウ。
「それはいい。で、どこに行くんだ?」
クリスティナはすぐに同意する。
試練の乗り越え、女神の木の下で合流を果たしたクリスティナとコウショウ。
お菓子の奉納もそこそこに、二人は移動を開始する。
コウショウに連れられるままに、クリスティナは彼の後をついていく。
そして、たどり着いた先は。
「これなら、ちょっとやそっとじゃ折れないだろ?」
「あ……ああ……」
コウショウの見つけた場所は、大きな木の上。太くて逞しい木であった。これなら二人で登っても平気だろう。
だが、これにはひとつ問題があった。
なぜなら、ランララ聖花祭を楽しく過ごすために、クリスティナはドレスを着ていたのだ。
木を登るには、不向きな服装。
「クリスティナ」
コウショウがクリスティナを呼ぶ。木に登ったコウショウが手を差し伸べていた。
「コウショウ?」
「ほら、早く」
促されるままに手を差し出すと、コウショウはその手を引いて、上に持ち上げ、そのまま抱きかかえた。
「きゃっ!」
「これなら、登れるだろ?」
側の枝にクリスティナを立たせて、またコウショウは登っていく。
そして、また手を差し伸べて、クリスティナを持ち上げる。
それを数回繰り返して、良い場所を確保した。
「ここら辺でいいか」
「うん、そうだな」
二人は太い枝に腰を下ろして、星を眺めた。
草原で見るよりも、とても近く感じる。少しもしない間に、くしゅんとクリスティナは小さなくしゃみをした。夜風が冷たいのだろう。ましてや、ここは高所。冷たい風が当たりやすくなっている。
コウショウは静かに自分のマントの中に、クリスティナを招き入れる。
クリスティナは驚いていたものの、素直にその中に入っていった。
二人はまた、星空を見上げる。
隣に大切な者の温もりを感じながら。
夫婦になって初めてのランララ聖花祭は、素晴らしい夜空と優しさに包まれた、素敵な思い出となっただろう。
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