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未来へ進む為の約束
「でね、俺は、たまにはエンジェル達との交流も必要だと思うわけなんだよ♪」
「てめぇは常に交流しまくっとるだろうが……」
サクヤの能天気な発案に、シアが突っ込む。
本来ならば、ランララ聖花祭を楽しむところだが、ホワイトガーデンでの仕事を優先にした。
今頃、ランドアース大陸の方では、本物の女神ランララを交えての祭りが行われているだろう。
二人が仕事を終えた頃。
「さあ、シア! 次いくよっ!」
「へいへい」
サクヤの言葉にシアは素直に頷く。
二人が向かった場所は、とあるエンジェル達の集落。
実はその集落でも、お祭りが行われていた。
サクヤとシアはエンジェル達との交流を深めるために、祭りの催しの一つとして、自分達の演奏と歌、舞を披露することにしたのだ。
既にエンジェル達は集まり、二人が来るのを待っている。
「みんな、待たせちゃってごめん! これから、シアと俺とで、歌に演奏、そして舞を披露するからね。最後までゆっくり楽しんでいって!」
夕暮れをバックにシアが横笛を吹く。
風に乗って流れる旋律。それに重なるようにサクヤの歌声が響いた。
サクヤが横笛と歌に合わせて、ステップを踏みだし。
ふわりとサクヤの長い髪が揺れ、舞う。
歌うたび。
踊るたび。
笛を吹くたび、エンジェル達も一緒に歌って踊り始める。
最後には大合唱。
楽しいひと時は、あっという間に過ぎ去っていく。
最後は、祭りに参加したエンジェル達に見送られ、ゆっくりと家路に向かう。
シアはゆっくりと空を見上げた。
茜色に染まる空。
ふと、もういないアイツを思い出した。
「アイツの星は何処にあるんだろうな……」
「さぁね?」
そっけなく答えるサクヤ。
気づいたけれど、気づかないふりをした。
そう、今日は楽しい日でもあり、もういない親友の命日でもあった。
「あ、シア! 今日、間違えただろ?」
「間違えたって、何を?」
「演奏、途中で間違えたの、気づかなかったと思う?」
「うっ……」
どうやら、二人の演奏はまだ終わらないみたいだ。
悲しいこともあったけど、今はもう大丈夫。
だから、踏み出そう。大切な友と一緒に。
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