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神木色の抱擁
女神の木の下にたどり着いたのは、セイルが先であった。
(「もうすぐ、彼女も来てくれる……」)
大好きな彼女のことを思うと、思わずそわそわしてしまう。笑みがこぼれてしまう。
「セイルーっ!」
そこに現れたのは、大きく手を振って、駆け寄るラルスの姿が。
そのラルスの手にはしっかりと、今日渡すためのお菓子が抱えられていた。
「ラルス、来てくれたんだね」
「もちろんだよ〜」
二人は互いに抱きしめあって、無事、合流を果たせたことを嬉しく思う。
「だって、今日はランララ聖花祭だよ。セイルと一緒のランララ、とっても楽しみに……」
そのラルスの言葉は、最後まで続かなかった。
なぜなら。
「ラルスもそうだったんだ、嬉しいよ」
ふわりと、満面の笑顔を浮かべるセイルに、抱き上げられてしまった。
お姫様抱っこで。
「せ、セイルっ!」
頬を染める可愛らしいラルスに、セイルはもう、耐えられなくなっていた。
セイルの唇は、ラルスの額へと贈られる。
「わっ、わわっ!!」
頬を染めるところではない。ラルスの頬は真っ赤になっており。
でも最後には嬉しそうに、最高の笑みを浮かべていた。
「ラルス、好きだよ……」
「うん、ボクも……セイルのこと、大好きだよ」
額を寄せ合って、二人は互いの気持ちを伝え合う。
会えて良かった。
いつもありがとう。
幸せになろう。
どんな時でも好きだよ。
言葉に表せないくらいの気持ちは、抱きしめることで。
溢れる気持ちは、互いの瞳に宿して。
額のキスのお返しに、ラルスもセイルの頬にキスをした。
甘い甘い二人の時間。
こうして、二人はランララ聖花祭を楽しく過ごすのであった。
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