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ずっと一緒に居たいから
ランララ聖花祭の日、コジロウは朝露の花園にいた。
花園の中に座りながら煙を立ち上らせて、コジロウは約束の相手を待つ。
そろそろ、時間だろうか……。
「えいっ♪」
「わっ!?」
突然背中に触れる感触。回された腕の持ち主はすぐに分かった。
「びっくりさせるなよ」
笑いながら振り返れば、そこにはえへへと笑うルゥルの姿。
後ろからそっと近付いて、ぎゅうっと背中から抱きついて……。
だって、そうしたかったんですなぁ〜ん。
そう言うかのようなルゥルの様子に、コジロウは仕方ないなと苦笑する。
「……ねぇねぇ、わたしのこと好きなぁ〜ん?」
「何だよ突然」
コジロウに抱きついたまま、ルゥルは少しだけ頬を膨らませると「好きって言って欲しいなぁ〜ん」とせがむ。
「そんなこと、言わなくても分かるだろ?」
「ぇー……」
ぶっきらぼうに言うコジロウだが、ルゥルは不満そうな眼差しでじーっとコジロウを見つめる。
じ〜っ。
じ〜っ。
じ〜〜〜〜〜〜っ。
「う……」
そんな顔するなよ、とコジロウは溜息をつく。どうにもこうにも、こんな風にされると弱ってしまう。仕方無さそうに、コジロウは「1回だけだぞ?」と念を押すように告げてから。
「……好きだよ」
「聞こえないなぁ〜ん」
「えぇー、聞こえてただろ絶対!」
言葉を紡げば、ルゥルは更に言葉を求めてくる。嘘だ、嘘に違いないと切り返すコジロウだが……。
「うぅ」
「って、泣くことないだろ」
悲しげな顔をしたルゥルが目に涙を溜めるのを見て、コジロウは降参だとばかりに「分かったよ」と両手をあげた。
「――好きだよ。今までも、これからもずっと……愛してる」
彼のその言葉に、ルゥルは心の底から嬉しそうに満面の笑みを浮かべて。
「わたしも、大好きなぁ〜ん」
今まで以上に、ぎゅうっと両腕に力を込めて、コジロウに抱きついた。
好きだから、愛しているから……ずっと一緒に居たいから。
朝露の花園で触れ合いながら、ルゥルはコジロウと2人だけのランララ聖花祭を過ごすのだった。
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