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ランララに見守られし夜、二人は夢の中へ―
マリーとシオンの二人は、星屑の丘に来ていた。
「ま、マリーさん。その……前日の夜になるまで、ランララ聖花祭の事を忘れてて……だから、用意が全然できなくて……マリーさん、ごめんなさい」
そう、頭を下げるのはシオン。
できるのなら、自分もお菓子を渡したかったのだが、そんな時間はなかった。
「ええって。気にしてへんから。それよりもこれ、一緒に食わへん?」
マリーはそんなシオンに微笑んで、自分の持ってきたお菓子を勧める。
せっかくのランララ聖花祭。ましてや今年は、本物の女神様が降臨している……だからこそ、例年よりちょっと奮発してお菓子を用意した。
「マリーさん……」
シオンは勧められるままに、お菓子を一つ、摘んだのであった。
楽しいひと時は、あっという間に過ぎていく。
日も暮れて、空には星が瞬き始めていた。
「星屑の丘……何度見ても綺麗な夜空です」
「そうやな……」
シオンの言葉にマリーは頷く。そして、マリーのまぶたも重くなっていく……。
「と、マリーさん、眠いなら眠っちゃっても良いですよ」
「ほな、お言葉に甘えて、ちょっと横にならせてもらいますえ……」
どうやら、少し疲れが出てしまったらしい。
「ん。ゆっくりと休んでくださいな」
シオンに許可を貰って、横になるマリー。シオンも彼女の隣で横になる。
(「さて、さすがにちょっと寒いですね。マリーさんも風邪を引くといけませんし……抱きしめちゃえば良いですよね」)
シオンはそっと、彼女に寄り添うかのように体を近づけた。そっと乗せられる暖かい手。
(「んー……このまま……私も寝ちゃって……良いですよね」)
シオンもまた、マリーと同じようにまぶたを閉じた。
(「なんかいつもより眠り心地がええような……ランララ聖花祭やから?」)
だが、すぐにその答えが出てくる。
(「いや、このぬくもり……シオンはんの感触」)
目をつぶっていても感じる。
(「シオンはんも一緒に寝てはるんどすかな」)
そう思いながら、マリーはまた夢の中へ。
これも女神、ランララちゃんの祝福か……。
この時がいつまでも続いたなら、どれだけ幸せなことか……。
マリーさん、いつまでも愛しています。
何時までも……。
二人の想いが交錯する。
暖かい温もりに触れながら、目覚めるまで、あともう少しだけ……。
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