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いつまでも、ずっと
重ねられる手と手。そこから感じる暖かな温もり。
サナとアモウは、ここ、朝露の花園に来ていた。
「サナ、足元に気をつけて」
「うん、大丈夫……っぁ……」
アモウの言っているそばから、つまづきよろめくサナ。アモウはそんなサナをそっと抱きとめた。
「だから言ったのに……大丈夫か?」
「あ、うん、ありがと……」
手のひらとは違う、アモウの腕の中の温もりは、サナの鼓動を早めていく。
昨年末には、新しい家族を迎え、親となった二人。今もこうして二人きりでいると、恋人同士のように見える。
花園を見渡せる景色の良い場所で、二人は並んで腰を下ろした。
「すごくいい気持ちね。お花も綺麗で素敵。来て良かったね」
「ああ、本当に天気もいいし、気持ちがいいな」
心地よい場所に満足しながら、サナはさっそく用意してきたお菓子を取り出す。
「今年はね、ムースショコラを作ったの」
「お、ありがとう。うん、とても美味しそうだ」
そう微笑むアモウの笑顔が嬉しくて。
「食べさせてあげるね」
ムースをスプーンですくって、アモウの口元にそっと差し出した。
「いただきます♪」
そういって、アモウの口に触れるのは、サナの額。
「あ……」
不意に抱き寄せられ、驚くサナであったが。
「ありがとう、サナ。本当に嬉しい」
優しげなアモウの微笑をみていると、サナもいつの間にか笑みを浮かべてしまう。
「私も、アモウが喜んでくれることが、何よりも嬉しくて幸せ」
サナはそっと、アモウの頬に口付ける。
「アモウ、大好きよ」
「ありがとう。俺も大好きだ、サナ」
今度は額でも頬でもなく、互いの唇を重ねて。
「いつまでも、ずっと恋人同士みたいにラブラブでいようね」
「ああ、もちろん」
アモウは、優しくサナを抱き寄せたのであった。
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